2011年4月26日火曜日

免疫機能を生かしたがん抗体医薬品

仏バイオ製薬のビバリス、富山VBと共同開発

仏バイオ製薬、ビバリス(仏・ナント市)は、バイオベンチャーのエスシーワールド(富山市、末岡宗広社長)と提携し、富山に日本初の研究開発拠点を設置 した。ビバリスはエスシーが持つ抗体の採取技術を活用し、新しい抗体医薬品の開発に着手する。県では両社の提携が県内医薬品産業の発展を加速させると期待 している。

25日、ビバリスのフランク・グリモ最高経営責任者(CEO)が県庁に石井隆一知事を訪問し明らかにした。このほど100%子会社のビバリス富山ジャパ ン(富山市)を設立、5月から事業を開始する予定。石井知事は「今回の提携の成果が出れば、富山県の医薬品産業の発展につながる」と話した。

ビバリスの新会社の従業員は7人で、うち研究者は4人。グリモCEOが代表を兼任。エスシーが入居するビルと同じ場所に設置しており、研究所は富山大杉谷キャンパス(富山市)に置いた。

新会社では、まずエスシーの技術をビバレスのフランス・リヨンの研究所に伝え、両社の持つ技術の優れた部分を改めて洗い出す計画。将来的には新会社をビバリスの日本・アジアの拠点と位置づけて、アジア市場の開拓を目指す。

エスシーの技術の核心は直径約10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの微細な穴が25万個空いたチップ(薄い板)。この穴に抗体を生み出すリンパ球を入れる。ウイルスなど抗原を含んだ溶液を流し込むと抗原が穴に入り、リンパ球と反応して抗体が生まれる。抗体獲得には一般的な手法では2~6カ月かかるが、同技術だと2週間以内で済む。

ビバリスは薬剤の原料となる抗体を見つけ出す技術やたんぱく質の製造技術をすでに持ち、がんやインフルエンザなど治療ニーズの高い領域を中心に、ヒトの免疫機能を生かした抗体医薬品やワクチンの開発などに取り組んでいる。エスシーが持つ抗体を見つけ出す技術と組み合わせることで、開発の迅速化が図れると期待している。

ビバリスは1999年設立。2010年の売上高は11億円以上の見込み。グリモCEOは「エスシーの持つ技術や人材がすばらしく、富山で共に仕事をすることを決めた」と話した。

2011年4月26日 日本経済新聞

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