2011年12月31日土曜日

がん患部で抗がん剤生成する新薬

新しいがん治療法、米国で臨床試験へ

 信大医学部(松本市)内に研究所を置くベンチャー企業「アネロファーマ・サイエンス」(東京)は来春にも、ビフィズス菌を利用したがん治療法の臨床試験を米国で始める。がん組織は酸素の少ない「嫌気的環境」にあるため、嫌気的環境を好むビフィズス菌を薬の「運び屋」として利用。併せてがん組織の内部で抗がん剤を生成する仕組みにすることで正常な組織への影響を抑え、副作用が少ないがん治療法の確立を目指す。
 同社が実用化に取り組んでいる治療法は、抗がん剤になる前段階の物質「5―FC」と、5―FCを抗がん剤「5―FU」に変える酵素を作る遺伝子を組み込んだビフィズス菌「APS001F」を患者に投与。ビフィズス菌が集まるがん組織の内部で抗がん剤に転換し、ピンポイントでがん組織を攻撃する。
 臨床試験は米国中南部にあるがん専門病院で実施。まず第1段階の試験で、がんの種類を絞らずに、胃がんや大腸がんなどさまざまな固形がんを対象に行う。2年ほど実施した後、続く第2段階の試験で、第1段階で特に効果が高かったがんの種類に絞って投与。両試験で計40~60人の患者に実施する予定だ。
 同社はこれまで動物実験で有効性や安全性を確認。臨床試験については米国立衛生研究所や米食品医薬品局と打ち合わせを重ね、それを基に1月中に米食品医薬品局に実施を申請する。順調に進めば、春ころに1人目の患者に投与できる見込みだ。
 同社取締役で信大大学院医学系研究科の谷口俊一郎教授=分子腫瘍学=は「がんの種類によって、ビフィズス菌が集まりやすいものと、集まりにくいものがあるかもしれないので、臨床試験を通して見極めたい」と説明。「がん組織という局所だけで大量に5―FUを作ることができるため、副作用を減らすだけでなく、従来は5―FUが効かなかった種類のがんにも効果があるかもしれない」と期待する。
 臨床試験が順調に進めば、5―FUだけでなく別のさまざまな薬を運ぶ手法としても注目されそうだ。
 同社の三嶋徹也社長は「今までにないまったく新しいコンセプトの治療法を是非、世に出したい」と話している。

2011年12月31日 信濃毎日新聞

2011年12月27日火曜日

がん抑制効果の菌とは

アクネ菌に皮膚がん抑制効果 三重大院講師ら確認

ニキビの原因となるアクネ菌が、皮膚がんの一種で転移の早い「悪性黒色腫」の抑制に役立つことを、三重大大学院医学系研究科の山中恵一講師らのグループがマウスを使った実験で明らかにした。米科学誌「プロスワン」電子版に22日、掲載された。

グループは、白血球内の免疫細胞の中に、アクネ菌と腫瘍に反応する細胞がある点に着目。悪性黒色腫を移植したマウスの患部に菌を直接注射したところ、周辺組織の免疫機能が活性化し、アクネ菌とともに腫瘍のがん細胞も排除し始めた。

  アクネ菌を1カ月間で2回注射したマウスは、注射していないマウスに比べて腫瘍の成長が半分にとどまり、がん細胞も大幅に減っていた。山中講師は「今後はアクネ菌のうち、どの成分が効果的なのかを解析し、新薬の開発につなげたい」と説明している。

2011年12月22日 中日新聞

未承認薬でのがん治療が可能に

未承認薬、条件つき容認へ 重病患者を対象、厚労省方針

 厚生労働省は、ほかに治療法がない重い病気の患者に対し、国内では承認されていない薬を一定の条件で使えるように制度化する方針を固めた。26日夜、薬事行政の見直しを検討している厚労省の審議会で大筋了承された。同様の制度は欧米にあり、がん患者らが要望していた。

 日本は欧米に比べて薬の承認時期が遅れるため、欧米で受けられる最新の治療を受けられないことがある。医師や患者が海外の薬を個人輸入して使っている例もあるが、偽造薬を買わされる危険性や、副作用が起きたときに対応ができるのか、などの問題がある。

 創設する制度では、欧米で承認済みで、国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする。医療機関が厚労省に必要な届け出をすれば、複数の病気を抱えているなど治験に参加できない患者に、この薬を使えるようにする。患者にとっては治療の選択肢が広がることになる。

2011年12月27日 朝日新聞

2011年12月21日水曜日

唾液で がん検査が実用化

がん検査は簡単便利になるほど受信する人数の増加が見込めるために、がんの早期発見に寄与できるという理屈だ。がんの最良の治療法が、早期発見早期治療であるkとは誰もが知っているのに、早期発見のためのがん検診を面倒がるという矛盾。
実用化前のためにがん検診ではなく「スクリーニング」、つまりがん発病が疑われる患者をふるいに掛ける程度の精度のようだが、唾液だけでがんの簡易検査ができることは間接的に多くの患者を救うことになる。


末期がんになる前に全てのがん患者を発見できれば、末期がんは無くなってしまうのかもしれない。


2011年12月21日 ZAKZAK

唾液から“がん”が発見できる時代へ!
 人の唾液を調べて、健康・医療に役立てる研究が進んでいる。最近では、前立腺がんの腫瘍マーカー(血液検査)であるPSA(前立腺特異抗原)検査が唾液でも行えることが報告された。唾液でどこまでわかるのか。唾液検査の現状について専門家に聞いた。
 ■血液と唾液の関係
 PSAは唾液中にも含まれ、前立腺がん手術後の再発・転移を調べるのにも有効だとの研究結果をまとめたのは、神奈川歯科大学の槻木恵一教授(唾液腺健康医学)らのグループだ。
 研究によると、前立腺がん患者31人を調べ、再発や転移が見つかった11人はPSAの血中濃度が高い上に、血中濃度が上がるにつれ唾液中の濃度も上がっていた。再発・転移のない20人は血中濃度が低く、唾液中にもほとんど含まれていなかったという。
 現在、唾液用の検査キットを開発中で、今年度中にはさらに大規模研究がスタートする運びだ。
 ■偽陰性なく十分有効
 PSAは前立腺から分泌される物質で、がん以外でも前立腺に病気があると血中濃度が高くなる。
 では、なぜ唾液中にもPSAが現れるのか。
 槻木教授は「唾液は血液から作られていて、血液成分を反映するからです」と話し、唾液検査の精度をこう説明する。
 「欠点をいえば、口腔内の細菌や病変に影響を受ける場合があり、さらに唾液は血液より濃度の幅が大きい。ただし、PSA唾液検査では、偽陽性の可能性はあっても偽陰性はなく、スクリーニングに十分有効です」
 とくに大きな利点は「痛くない、簡単、誰でも採取できる」ところだ。
 ■唾液に有望な将来性
 槻木教授は「最も大切な成果は、すでに広く使われている腫瘍マーカーが、唾液検査に応用できることが分かったこと。早く実用化に取りかかれるのです」と話す。
 これまでも唾液でがんを発見する研究はあったが、新しいマーカーを見つけることに重点が置かれているため、実用化にはまだ時間がかかる。たとえば、慶応大では唾液から、すい臓がん、乳がん、口腔がんを見つけるための新しいマーカーの開発が進められている。
 唾液腺と全身の関係や唾液中の無数の成分には解明されていないことが多く、今後も唾液腺関連研究の進展次第では、まだ多くの検査や病気予防への応用の将来性が秘められているという。
 槻木教授は、現在取り組む有望な研究テーマの概要をこう話す。
 「唾液には多数の抗菌物質が含まれ、この量の違いが、唾液の質の差となり健康のバロメーターになる。また、舌下部からある唾液成分が血液に再吸収されているが、その成分の働きが全身の健康に大きく関与していることに注目しています」
 今後の唾液研究に大いに期待したいところだ。
■唾液からわかる主な検査項目
○虫歯のなりやすさ
○歯周病の状態
○HIVウイルスの有無
○ストレスの測定
○喫煙習慣
○大麻や覚醒剤の使用の有無
△乳がん・前立腺がんのスクリーニング
△生体の活性度(免疫力)
△疲労度(ウイルスの量)
△妊娠しているかどうか
△性病関連の検査
△環境汚染の程度(環境ホルモンの量)
※○は検査が確立・実用化されている。
 △は研究中で今後の実用化が可能

2011年12月19日月曜日

がん細胞だけに放射線の肺がん治療

がんを狙い打つ放射線治療
肺がん治療に用いられる放射線治療の問題は、副作用と効果のバランスが悪いことだ。放射線が目標となるがん細胞だけに照射されてがん細胞だけが死滅させられるのが理想だが、実際にはがん細胞だけでなく、周囲の正常な細胞にも放射線が当たってしまう。そのために吐き気、嘔吐、虚脱感、抜け毛などの副作用が引き起こされていた。さらに肺がんへの放射線治療を困難にしているのは、呼吸によって肺が動き、放射線治療の対象となる肺がん患部も動いてしまうことだった。そのため、肺がんへの放射線治療は正常細胞をも痛めてしまう治療例が後を絶たなかったのだ。
要するに正常細胞には放射線を当てず、狙ったがん細胞だけに放射線を当てれば良いだが、これが従来のがん治療機器では不可能だったのである。
しかし、近年の最新のがん放射線治療機器に機能された自動追尾装置ならば、がんの病巣を呼吸に合わせて追尾しながら、がん細胞だけにピンポイントで放射線を照射できる手法が確立された。
従来ならば、呼吸に伴って肺がん患部が揺れ動くために、放射線を照射する対象の病巣部を正確にリアルタイムで捉えることが不可能だったが、最新鋭の機器ならば正常な臓器や組織への放射線量を少なくすることができ、副作用の軽減が期待できるのだ。がん患部への照射と、エックス線で透視した画像処理を並行することで、がん病巣の位置を常に把握できる。治療中から照射ヘッドの向きを変えることで、動くがん病巣への放射線照射をリアルタイムで追尾可能になった。
従来の放射線治療法と比べると、がん病巣への同じ放射線量を照射しつつ、正常な肺への放射線量は2割減となった。治療時間は1回30分程度で、公的医療保険が適用されることが特筆される。
現在のところ世界中でも、京都大病院と神戸市の先端医療センター病院だけが、この最新機器でのがん治療を実施している。

子宮筋腫と子宮肉腫を容易に見分ける新手法

PET使い子宮筋腫・肉腫を判別

近年に女性の晩婚化や少子化が原因で増えているとされる子宮筋腫は、子宮肉腫や子宮がんへの変異が心配されることが多い。

従来、子宮筋腫と子宮肉腫を見分ける診断は難しいものだった。しかし、陽電子放射断層撮影(PET)を利用することで、患者の負担は最小でも9割以上の高い精度でがん診断することができるようになった。

この「PET診断法」は、福井大産科婦人科の吉田好雄准教授と福井大高エネルギー医学研究センターの岡沢秀彦教授が開発した手法で、米国核医学学会「がん・腫瘍(しゅよう)診断部門」では「最高賞」を獲得している。

2011年12月16日金曜日

転移・再発の乳がんに新薬抗がん剤

 

抗がん剤「ハラヴェン」がカナダで承認

乳がん、それも再発・転移乳がんに対する新薬が、カナダ保健省から承認を取得した。
乳がん新薬の名称は、抗がん剤「ハラヴェン」。

「ハラヴェン」は、2010年3月に日本、米国、欧州で同時申請を行い、世界で初めて2010年11月に米国で抗がん剤としての承認を取得した。2011年12月時点では、今回のカナダを含め、シンガポール、欧州、日本、スイスなど世界35カ国で承認されている抗がん剤である。

がん患者が痛みに耐えていた時代

がん患者が痛みに耐えていたのは前時代の治療状態だ。
現代のがん治療は、QOL(生の質)を最優先に、痛みを和らげることに主眼を置く。がんの疼痛緩和に対して、積極的に医療用麻薬=モルヒネを利用することも非常に有効なのである。
がん患者の痛みの緩和ケアには麻薬だけでなく、「ハンドマッサージ」も有効であり病棟での実施も拡がり、各地で講習会も盛んになりつつある。
がんの痛みのケアのためには、オイルを塗ったがん患者の手の甲や指先を「相手を思いやりながらゆっくりと」もみほぐすことが大事なのだ。
がん患者や家族がマッサージを憶えることで、がん患者の闘病に寄与できるのである。

2011年12月15日木曜日

脂肪肝から肝がんへの高リスク

高リスクで肝癌に進展する「非アルコール性脂肪肝炎」とは
肝硬変や肝がんは、B型やC型肝炎ウイルス感染、アルコールの過剰摂取が原因といわれている。近年肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を高頻度に合併した脂肪肝で、炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝硬変、肝がんでの死亡が増加している。健康診断で脂肪肝と診断され、年々肝臓の数値が悪化している場合は専門医による早期の受診が不可欠だ。
健康診断で脂肪肝を指摘されても、症状もないため放置することが多い。しかし、肝硬変や肝がんのリスクが高い脂肪肝もある。
従来、肝硬変や肝がんの原因は、B型、C型肝炎ウイルスの感染や過剰なアルコール摂取が主だった。ところが近年、ウイルスに感染しておらず、アルコール摂取もない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の中で、炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からの肝硬変・肝がんが増加している。NASHの多くは肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を合併しており、ウイルス性やアルコール性肝炎よりも予後が悪い場合がある。
大阪府済生会吹田病院の岡上武院長に話を聞いた。
「NAFLDは現在約1000万人いるといわれ、予後が比較的良好な単純性脂肪肝と、予後が悪いNASHに分かれます。NAFLDのうち20~30%がNASHと推計され、NASHは10年以内に10~30%が肝硬変や肝がんに進展します」
2011年12月15日 週刊ポスト

2011年12月14日水曜日

腫瘍が80%縮小の新薬、すい臓がんワクチン

免疫系を「訓練」、画期的な乳がんワクチンを開発 米研究
乳がん、大腸がん、卵巣がん、すい臓がんの治療に有効と見られる画期的な仕組みのワクチンを開発し、マウスの実験で腫瘍を大幅に縮小できたとする論文が、12日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。
 ワクチンを開発したのは、米ジョージア大学(University of Georgia)がんセンターのヘルトヤン・ブーンズ(Geert-Jan Boons)教授と米メイヨークリニック(Mayo Clinic)のサンドラ・ジェンドラー(Sandra Gendler)教授のチーム。細胞表面にMUC1たんぱく質が付着している腫瘍を見つけ出して殺すよう、免疫系を訓練するというもので、こうした仕組みを持つワクチンは世界初だという。
 MUC1は乳がん、すい臓がん、卵巣がん、多発性骨髄腫など、悪性で致死率も高いタイプのがんの70%以上で見られる糖たんぱく質。タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、ハーセプチンなどの抗ホルモン剤が効かないいわゆるトリプルネガティブ乳がん患者の90%で過剰発現することでも知られる。
 マウスにこのワクチンを投与してみたところ、免疫系の3つの構成要素すべてが活性化され、腫瘍が平均で80%も縮小した。
マウスでの実験結果が人間には当てはまらないというケースは多いが、研究チームは、極めて強い免疫反応を示し独特の仕組みを持つこのワクチンに大きな期待を寄せており、ワクチンの安全性を確認するフェーズ1の臨床試験を2013年中にも開始したい考えだ。
 なお、このワクチンは化学療法との併用が可能で、特定のがんに対する予防効果もあるという。
2011年12月13日 AFP

腫瘍が80%縮小の新薬、すい臓がんワクチン

免疫系を「訓練」、画期的な乳がんワクチンを開発 米研究
乳がん、大腸がん、卵巣がん、すい臓がんの治療に有効と見られる画期的な仕組みのワクチンを開発し、マウスの実験で腫瘍を大幅に縮小できたとする論文が、12日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。
 ワクチンを開発したのは、米ジョージア大学(University of Georgia)がんセンターのヘルトヤン・ブーンズ(Geert-Jan Boons)教授と米メイヨークリニック(Mayo Clinic)のサンドラ・ジェンドラー(Sandra Gendler)教授のチーム。細胞表面にMUC1たんぱく質が付着している腫瘍を見つけ出して殺すよう、免疫系を訓練するというもので、こうした仕組みを持つワクチンは世界初だという。
 MUC1は乳がん、すい臓がん、卵巣がん、多発性骨髄腫など、悪性で致死率も高いタイプのがんの70%以上で見られる糖たんぱく質。タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、ハーセプチンなどの抗ホルモン剤が効かないいわゆるトリプルネガティブ乳がん患者の90%で過剰発現することでも知られる。
 マウスにこのワクチンを投与してみたところ、免疫系の3つの構成要素すべてが活性化され、腫瘍が平均で80%も縮小した。
マウスでの実験結果が人間には当てはまらないというケースは多いが、研究チームは、極めて強い免疫反応を示し独特の仕組みを持つこのワクチンに大きな期待を寄せており、ワクチンの安全性を確認するフェーズ1の臨床試験を2013年中にも開始したい考えだ。
 なお、このワクチンは化学療法との併用が可能で、特定のがんに対する予防効果もあるという。
2011年12月13日 AFP

大腸がんを早期発見できる新型内視鏡

大腸がんの早期発見をサポートする下部消化管用拡大内視鏡
135倍まで病変を拡大観察可能、大腸がんの早期発見をサポート
下部消化管用拡大内視鏡 「EC-590ZP」大腸への挿入性向上、ひいては患者負担軽減が期待できる!
 富士フイルム株式会社(社長:古森 重隆)は、大腸の検査・治療に使用される下部消化管用拡大内視鏡の新ラインアップとして、挿入部が11.8mmの細径で倍率135倍まで病変を拡大観察可能な「EC-590ZP」を、12月15日より富士フイルムメディカル株式会社(社長:平井 治郎)を通じて発売いたします。「EC-590ZP」は、大腸への挿入性向上による大腸検査時の患者負担軽減を目指すとともに、独自の画像センサー・光学技術による高画質画像で病変の早期発見をサポートする新製品です。
 大腸は全長が長く、急峻な屈曲部を持つ臓器であることから、大腸内視鏡には、挿入性の良さや観察性能の高さに加え、患者の苦痛を抑える工夫が必要とされています。患者の苦痛を抑えるためには、スコープの細さ、軟らかさが求められている一方、医師の操作の力加減をスコープに伝えるために、ある程度の硬さも必要とされています。
 今回発売する「EC-590ZP」は、こうした医療現場のニーズに対応し、スコープ表面にコーティングする樹脂の量を、先端部分から手元側の操作部に向け連続して変化させる構造を採用。スコープの先端部分には柔軟性を持たせ、手元側の操作部に向かってスコープを硬くしています。これにより、患者の苦痛軽減に繋がるスコープ先端部分の軟らかさと、力加減を伝えるために必要なスコープの硬さという点で、適切なバランスを追求しています。大腸への挿入性のさらなる向上と、患者の苦痛軽減の両立を追求することで、効率的かつ安全な検査の実現を目指します。
 「EC-590ZP」は、挿入部に11.8mmの細径を採用しました。また、独自のスコープ設計技術を駆使し、光学ズーム機能により倍率135倍まで病変を拡大観察可能です。さらに、血管観察の阻害要因となる長波長光をカットする光学部材を搭載し、粘膜と微細血管の色のコントラストをより向上させました。分光画像処理機能「FICE(*3)」 と併用でき、病変の早期発見・診断をサポートします。この他、独自の画像センサー「スーパーCCDハニカム(TM)」を搭載し、高い解像度を実現。微細な血管走行等、微妙な色の違いの描写力向上が期待できます。
 富士フイルムは、これまで高画質で定評のある「EC-590WM3」をはじめとする下部消化管用スコープを発売し、ご好評をいただいております。また、鼻からの挿入に適したしなやかさを持つ「経鼻内視鏡」や、小腸の観察・処置を容易にした「ダブルバルーン内視鏡」など、独自の技術で挿入性向上、患者の苦痛軽減を目指しています。今後も、医療現場のニーズにこたえる内視鏡関連製品のラインアップを拡充し、医療の質や効率の向上、人々の健康増進に貢献していきます。
2011年12月14日 プレスリリース

2011年12月13日火曜日

8分間で判明する息だけ肺がん検査

肺がんを最先端技術で診断・治療

聖マリアンナ医科大学病院

 コンピューター画像診断や気管支鏡などの進歩により、ごく小さな段階で見つかるようになっている肺がんだが、国内では年間およそ7万人が命を落としている。さまざまな診断技術が開発されているにも関わらず、多くの人が受けているレントゲン撮影や、痰の中にがん細胞がないかを調べる喀痰(かくたん)検査だけでは、見逃されている早期がんがあるからだ。

 現在、世界的には、人の吐く息で肺がんを調べる方法について研究が進められている。呼気には揮発性有機化合物が含まれ、それを分析すると、肺がんの有無だけでなく、がんの種類や呼吸のできにくくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの診断も可能になるという。しかも、機械によっては検査結果が出るまでたった8分。簡便で短時間の検査が可能なため、将来的に健康診断などに導入されることで、より多くの早期肺がんや初期のCOPDを見つけることへの期待が高い。

 そんな世界最新の呼気分析の研究を今年1月からスタートしたのが聖マリアンナ医科大学病院呼吸器・感染症内科。最先端の気管支鏡を用いた診断と治療(呼吸器インターベンション)のメッカで、国内トップクラスの実力を誇る。

 「早期の肺がんであれば、ダイオードレーザーによるPDT(光線力学的治療)で治療を行うことが可能です。また、手術や放射線、抗がん剤など治療法はいろいろあります。簡単に早期の肺がんを 発見できる方法さえあれば、もっと多くの人を救うことができるのです。そのために検査方法の研究も進めています」とは、同科の宮澤輝臣教授(62)。長 年、「呼吸困難を克服する」ことをテーマに研究に取り組んできた。気道を広げるための気管支ステントでは、「MIYAZAWAステント」を開発するなど、 常に最先端技術の先駆者であり続けている。

 そんな宮澤教授は、かつてドイツ留学した際に知り合い、今も親交のあるローランドクリニック(エッセン)のフライターク教授から呼気検査の「イオン移動度分析機」の情報を得て共同研究を始めた。

 「人がこの装置に息を吹きかけるだけで、肺がんが8分後にほぼわかる(特異度100%)」とフライターク教授は言う。

 「呼気でがんの有無がわかるがん探知犬は、1989年以来、最近まで多数論文発表されています。しかし、探知犬を育てるのには時間がかかり、犬にも負担になります。呼気分析機なら、その検査法や精度が明確になれば、幅広く普及させることができるでしょう」(宮澤教授)

 呼気分析機の研究が進むと、治療後に肺がんが本当に消えたか再発したかどうかの判定も可能。さらには、呼吸器感染症を引き起こす細菌の有無とその種類ま でも調べることができるようになるそうだ。ドイツではすでにこの機械で成果を上げ、日本では宮澤教授チームの研究が第一歩となる。「将来的に呼気分析が先 進医療に認められることを目指しています」と宮澤教授。そのためにまい進中だ。 

<データ>2010年実績
☆新規患者数935人(内訳/肺がん687人/肺炎83人/COPDおよび気管支喘息63人/気胸・縦隔気腫56人/びまん性肺疾患46人)
☆呼吸器インターベンション50件
☆気管支鏡検査659件
☆病院病床数1208床(呼吸器内科病床数約50床)
〔住所〕〒216-8511神奈川県川崎市宮前区菅生2の16の1 
(電)044・977・8111

2011年12月11日 ZAKZAK

食道がんの自覚症状

食道がんの原因としては、主に喫煙や飲酒などの食生活やストレスなどと関係があり、発症は50~60代がピーク。思い当たる同世代のサラリーマンは注意が必要だ。「ストレスが免疫力を低下させることで、がんを悪化させる要因になることも。
50~60代に多く、60代過ぎが発症のピーク。
長い飲酒や喫煙習慣がリスク要因になっており、食道を刺激するのも発症のリスクを高める。極端に熱いものや冷たいものを食べ過ぎるのは避けたほうがいい。
食道がんが疑われる兆候には、

(1)食べ物が詰まる
(2)発熱や痰を伴わない空咳
(3)みぞおちがしくしく痛む
(4)胸の圧迫感
(5)食道の違和感
(6)恒常的な胸焼け
(7)風邪をひいていないのに声が枯れる

といったものが挙げられる。
食道がんの最大の問題は手術の難しさ。
心臓や肺などの器官に近い部位であるため、胸と脇を大きく切開しなければならない。外科手術の中でも高い技術を要求される手術。食道がんは再発リスクが高く、進行も早い。末期がんの場合には、1年以内に亡くなるケースも少なくは無い。
 しかし、早期発見ならば胃カメラ(内視鏡)で食道内部から切除することが可能で、抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療法も確立されている。
検診で発見されるケースが圧倒的に多いので、年に一度は胃カメラ検診を受けることで早期発見、治癒に繋がることが多い。

食道がんの原因と治療法

食道がんの原因としては、主に喫煙や飲酒などの食生活やストレスなどと関係があり、発症は50~60代がピーク。思い当たる同世代のサラリーマンは注意が必要だ。 「ストレスが免疫力を低下させることで、がんを悪化させる要因になることも。

50~60代に多く、60代過ぎが発症のピーク。
長い飲酒や喫煙習慣がリスク要因になっており、食道を刺激するのも発症のリスクを高める。極端に熱いものや冷たいものを食べ過ぎるのは避けたほうがいい。

 食道がんが疑われる兆候には、

(1)食べ物が詰まる
(2)発熱や痰を伴わない空咳
(3)みぞおちがしくしく痛む
(4)胸の圧迫感
(5)食道の違和感
(6)恒常的な胸焼け
(7)風邪をひいていないのに声が枯れる

といったものが挙げられる。

食道がんの最大の問題は手術の難しさ。
心臓や肺などの器官に近い部位であるため、胸と脇を大きく切開しなければならない。外科手術の中でも高い技術を要求される手術。食道がんは再発リスクが高く、進行も早い。末期がんの場合には、1年以内に亡くなるケースも少なくは無い。

  しかし、早期発見ならば胃カメラ(内視鏡)で食道内部から切除することが可能で、抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療法も確立されている。

検診で発見されるケースが圧倒的に多いので、年に一度は胃カメラ検診を受けることで早期発見、治癒に繋がることが多い。

がん患者のうつ病

がん患者の5%にうつ病が合併,ニーズ高まる精神腫瘍学の役割

がんという重大なライフイベントが与える精神的衝撃は甚大であり,うつ病などの精神症状を呈するがん患者は少なくないという。日本のあるデータによると,がん患者の約5%がうつ病と診断され,適応障害を含めると約20%が精神的問題を抱えているとされる。
そのような背景から,がん患者やその家族に対する精神医学的アプローチを専門とする精神腫瘍科のニーズが高まっている。国立がん研究センターでは1992年に精神科(2008年に精神腫瘍科に名称変更)を設置,がん患者とその家族への精神医療や緩和ケアに取り組んでいる。

精神疾患に罹患したがん患者への薬物治療には注意が必要であり、効果的な精神療法も並行する必要がある。

がん患者のうつ病

がん患者の5%にうつ病が合併,ニーズ高まる精神腫瘍学の役割

がんという重大なライフイベントが与える精神的衝撃は甚大であり,うつ病などの精神症状を呈するがん患者は少なくないという。日本のあるデータによると,がん患者の約5%がうつ病と診断され,適応障害を含めると約20%が精神的問題を抱えているとされる。

そのような背景から,がん患者やその家族に対する精神医学的アプローチを専門とする精神腫瘍科のニーズが高まっている。国立がん研究センターでは1992年に精神科(2008年に精神腫瘍科に名称変更)を設置,がん患者とその家族への精神医療や緩和ケアに取り組んでいる。
精神疾患に罹患したがん患者への薬物治療には注意が必要であり、効果的な精神療法も並行する必要がある。

子宮体がんの摘出手術経験談

“歌う尼さん”やなせななさんが子宮体がんの経験講演 

 シンガー・ソングライターと住職を兼ねる“歌う尼さん”やなせなな(本名・梁瀬奈々)さん(36)=奈良県高取町=がこのほど、松浦市内で講演。子宮体がんの経験を通して「人の痛みに気付き、分かち合う心が大切」と語り掛けた。

 やなせさんは28歳でデビュー。その後、がんが見つかり、30歳の時に摘出手術を受けた。現在は実家の浄土真宗教恩寺の住職を務める一方、各地で講演やコンサートを開いている。

 「心から心へと 伝えられる あいのうた」と題して、オリジナル曲を温かく力強い歌声で届け、曲に込めた思いやエピソードを紹介。出産できない体となった手術後のつらさを「子どもを見たときに不意に涙がこぼれてきた」と回顧。同じがん体験の境遇の人に多く出会い「病気をして初めて、苦しみや悲しみをそれぞれ背負って生きていることに気付いた」と述べた。

 東日本大震災の発生後は被災地を何度も訪問。現地の僧侶が書いた詞にメロディーを付けた鎮魂歌も披露した。

 人権週間(4~10日)に合わせ、市と市教委が開催。約250人が聞き入り、目頭を押さえる姿も見られた。

2011年12月11日 長崎新聞

がん患者データベース

がん患者、データベース化 市区町村や年齢・部位別に

 東京都は都内の病院からがん患者の情報を収集し、2015年をめどにデータベースを作る。まず約5万件のデータをまとめ、がんにかかった人の割合を市区 町村別、年齢別、部位別に集計する。都内でがんによる死亡者は年間3万人以上にのぼる。きめ細かく実態を把握・公表することで、市区町村に検診の拡充など がん対策にいかしてもらう。

 国の指針に基づく事業で、すでに多くの県で実施している。都内では病院が多いこともあり、都は手掛けていなかった。 都立駒込病院(文京区)に登録室を設け、7月から順次、医療機関に情報提供してもらう。来年1月以降、病院にかかった都内在住の患者が対象で、がんの部位、発見の経緯(検診、人間ドックなど)、放射線治療の有無など25項目を登録する。個人情報保護法の適用外で患者の同意は不要という。すでに約150病院に協力を呼び掛けた。

 同じ人が複数の病院で受診しているケースもあるため、重複の確認作業などに時間がかかり、12年の結果が出るのに3年程度かかるという。当初はがんによる年間死亡者の1.5倍の約5万件、最終的には同2倍の6万件の収集を目指す。

 この情報をもとに、市区町村別にがんにかかった人の割合を体の部位や年齢別などに分けて集計する。これを市区町村のがん対策にいかしてもらう。荒川区は一定年齢以上の区民が胃、肺、大腸、乳がん子宮頸(けい)がん定期検診を無料で受けられるようにしているなど、市町村で検診の内容が異なる。データが整備されれば、例えば、肺がんの人の割合が高い地域では、肺がんの検診を拡充するなどの政策も可能になる。

 血液のがんの一種である成人T細胞白血病(ATL)の割合が高い長崎県では国に先立ち、妊娠後の検査を自己負担なしで受けられるようにしてきた。大阪府では病院ごとに部位別の治療人数と5年後の生存率を公表し、病院選びの参考にしてもらっている。

 またがん患者の割合を公表することで、がん検診の受診率を高める狙いもある。現在、都内のがん検診の受診率は35%前後で50%に高める目標。

2011年12月13日 日本経済新聞

2011年12月12日月曜日

すい臓がんになるリスク90%高

ライフスタイルの「処方箋」で簡単に癌予防
 ご飯を食べるときには、一口30回噛むこと。調査によりますと、ご飯を食べるのが速い人は、胃がんにかかるリスクが高いということです。 良く噛むことにより、消化器系への食べ物の負担を減らし、胃や腸が癌にかかるリスクを減少させることができます。そして、アメリカの研究によりますと、唾 液には強力な殺菌作用があり、肝臓癌を引き起こすアフラトキシンの毒性を30秒以内で消せるということです。
 ですから、一回噛むのを1秒とすると、一口30回噛めば、癌の予防が出来るのです。
 一日7時間の睡眠を確保すること。アメリカ癌研究会の調査によりますと、毎日の睡眠時間が7時間に満たない女性は、乳がんにかかるリスク が47%高くなるということです。これは、睡眠時間が不足すると、何らかの理由でメラトニンの生成が妨害され、その結果、女性の体内で乳がん促進物質とし て知られるホルモンのエストロゲンが過剰に分泌されるため、乳がんにかかるリスクが高くなるというものです。
 上海市中国医学不眠症医療協力センターの施明副主任は、夜の10時半前から寝る準備を始め、11時前には寝るようにし、朝の6時から7時の間に起きることを薦めています。
 このほか、ドイツの睡眠の専門家は、昼食後の午後1時頃が日中で一番眠気を感じることが多く、この時間に少し居眠りができれば、体内の免疫細胞の活性を促し、がん予防に効果があると述べています。
 糖分を控えめにすること。癌細胞がもっとも好む食べ物は糖分です。癌細胞が血流に乗って流れるとき、血糖の57%が癌細胞に吸収されて、その栄養成分となります。
 アメリカの医学誌によりますと、毎日二杯の甘い飲料を飲むと、すい臓がんになるリスクは飲まない人より90%高くなるということです。
 天津医学大学付属癌病院すい臓がん科の郝続輝主任は、「できるだけ糖分のある食べ物は食べないようにしてください。そして、一日の糖分の摂取量は一人当たり50グラム以内にすべきです」と述べています。
 お肉を食べるときはワインを飲むこと。赤ワインの原料にもなっている葡萄の皮には、抗癌性物質のレスベラトロルが含まれ、消化器系の癌の予防に効果があります。
 また、豚肉や牛肉、羊肉などの赤味の肉は一週間に500グラムが適量で、食べ過ぎると結腸癌のリスクが高まります。
 しかし、お肉を食べるときに、ワインを飲めば、そのワインの中に含まれているポリフェノールは、胃の中の肉が有害物質に分解されるのを防ぐ役割があり、癌の予防に効果があるということです。普段の日常生活に注意すれば、私たちは癌から遠く離れることができます。これからは一緒に注意しま しょう。
2011年12月11日 CRI

がん診療体制強化の病院

がん診療「協力病院」に13カ所 県指定 特定部位で質高い治療

がん医療体制の強化のため、県は特定の部位のがんの質の高い治療を受けることができる「がん診療連携協力病院」の制度を新設し、県内十三病院を指 定した。千葉、東葛南部など九つに分けられた医療地区(二次医療圏)の中で、これまで厚生労働省指定の「がん診療連携拠点病院」がなかった山武長生夷隅地 区でも、一病院が指定された。
 がん診療体制をめぐっては、専門的な医療の提供などで地域の中核となる医療機関が拠点病院として、厚生労働省から指定されている。県内には十四カ所が指定されている。
 協力病院は、肺や胃、大腸などの各部位のがんのうち一つ以上で、拠点病院と同じような診療機能を持つ医療機関として位置付ける。拠点病院に準じた 機関とし、地域のかかりつけ医との連携を強化し、がん診療体制を強化するのが狙い。院内のがん患者や家族らからのがん診療に対する相談に応じ、診療機能や 実績などの情報を県民に開示する。
 専門医の配置や手術数、化学療法の提供体制などに関し、拠点病院の専門医らで組織する選定委員会が審査し、県知事が一日付で指定した。指定期間は 四年間。県健康づくり支援課は「県内の二次医療圏のすべてで、拠点、協力病院のいずれかがある体制ができた。各医療圏ごとにより身近な病院で、がん診療が 受けられるようになる」と指定の効果を説明している。
2011年12月10日 東京新聞

2011年12月10日土曜日

転移性乳がんを抑制する新投薬法

2つの薬が転移性乳がん進行を抑制=研究

8日発表された2つの研究は、転移性乳がんの標準的な治療に薬を追加することで、腫瘍の成長を大幅に遅らせることができるとしている。研究では、腫瘍の成長につながる要因をターゲットにした薬が、転移性乳がんを抑えるための標準的な治療に加えられた。
乳がん患者のHebert氏は「アフィニトール」の投薬を受けたところ、腫瘍が21%縮小した

 大ヒット薬の「ハーセプチン」と化学療法に「ペルツズマブ」(モノクローナル抗体)を加えた研究では、腫瘍の成長が6.1カ月抑えられた。研究は、ペル ツズマブを開発したロシュ・ホールディングと子会社ジェネンテックが資金を提供。HER-2陽性の転移性乳がんと診断され、それまで乳がん治療を受けたことのなかった患者808人を対象に行われた。
 別の研究では、女性ホルモンのエストロゲンの生産を阻止する薬「エキセメスタン」にノバルティスの「アフィニトール」(転移性腎細胞がん治療薬)を追加したところ、腫瘍の成長が4.2カ月抑えられた。

2011年12月8日  WSJ

肺がん後に注意すべき病気とは?

肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症率が高い―台湾研究

喫煙率の低下により近年は全体的に患者数が減少しているものの、依然としてがんによる死亡の最多を占めている肺がん。喫煙と深い関係にあり、近年は女性患者の増加が懸念されている。こうした中、肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症リスクが高いと、台湾・中国医薬大学のPei- Chun Chen氏らが、米医学誌「Stroke」(2011; 42:3034-3039)に発表した。
15万人を追跡調査
脳卒中は肺がん患者の脳血管合併症とされているが、がんのない人と比べ脳卒中のリスクが高いかどうかは明らかではない。Chen氏らは、国民健康保険のデータから抽出した1999~07年の新規肺がん患者5万2,089人と、がんのない対照者10万4,178人との間で、08年までの脳卒中の発症を比較した。
 その結果、肺がん群の脳卒中発症率は対照群と比べて1.5倍高かった(1,000人当たり年間25.9人、同17.4人)。対照群と比較した肺がん患者の脳卒中全体のリスクは1.47倍、脳出血に限定すると1.78倍、脳梗塞では1.43倍だった。なお、脳卒中リスクは、男性では追跡1年後、女性では追跡2年後に低下したという。
2011年12月9日

2011年12月8日木曜日

すい臓がんを早期発見の微妙な症状

【これで私は助かった!】腹痛から“膵臓がん”見つかり命拾い

 見つかったときには手遅れだった-。がんの中でもこのケースが非常に多いのが「膵臓(すいぞう)がん」だ。早期発見の難しさはトップクラス。生還が最も難しい病気なのだが…。

 ■浜岡祥司さん(54歳=仮名)のケース

 膵臓がんが助かりにくいということは知っていました。だから自分が膵臓がんだと分かったときは観念しました。はっきり言って諦めていましたよ。

 きっかけは腹痛。それも「なんとなく痛い」という不快感に近いもの。胃薬を飲んでも効かず、酒の飲み過ぎだと思っていたんです。以前は会社でも一、二を争う大酒飲みでしたから。

 それでも1カ月も症状が続くと不安になってきて、そこでようやく病院を受診。症状を話すと胃カメラと超音波検査を受けることになりました。

 胃カメラでは異常はなかったものの、超音波の画像で膵管の微妙な広がりが写っていた。精密検査に進んで、CTとMRI検査の結果は「ステージ2の膵臓がん」。膵頭部に直径1センチほどのがんがあったのです。こんな僅かな病変からがんが見つかるとは驚きました。

 すぐに入院して、膵頭部と十二指腸を切除する手術が行われ、トータル1カ月ほどで退院。その後もがんが取り切れていない場合を想定して1年間の抗がん剤治療を受けました。

 抗がん剤の副作用は多少出たものの、副作用を止める薬を一緒に服用していたので、想像していたよりは軽く済みました。

 抗がん剤治療が終わってからも、定期的に検査は受けていますが、5年半が過ぎた今も転移や再発はナシ。医師の指示に従って、お酒はやめました。膵臓がんになって助かっただけでも命拾いなのに、それをみすみす捨てるようなことはできませんからね。

 ■専門医はこう見る

 膵臓がんが助かりにくいがんなのは事実です。よく「膵臓がんは背中が痛くなる」と言いますが、これはがんが脊椎の神経に浸潤して起きる症状。「黄疸(おうだん)」も同様で、膵がんに伴う自覚症状の多くは、がんがかなり進行していることを示唆します。

 早期で手がかりとなる症状というと、浜岡さんのような「上腹部の痛み」が挙げられますが、これも必ず出るわけではありません。つまり、自覚症状をアテにしていたのでは、なかなか完治は期待できないがんなのです。

 浜岡さんは「幸運」が重なったケースといえます。超音波画像の微妙な病変に気付いたのは医師や検査技師の技術が高かったから。この時点でがんが、一般的に「助かる見込みがある」とされる1センチ以下だったこともラッキーでした。

 オマケに膵臓がんの手術は食道がんと並んで難易度の高い手術。執刀する外科医には高い技術が求められます。その意味では、病院選びも重要なテーマとなります。

 こうした難関をクリアして初めて克服できる可能性が出てくる-というのが膵がんなのです。

 ただし、ハイリスクな人はいます。喫煙者、飲酒量の多い人、糖尿病の人-。特に中高年になって初めて糖尿病を指摘された人は要注意。これらに当てはまる人は、日頃から微妙な症状に注意して、年に一度の健診やドックを欠かさないことが重要です。

2011年12月7日 47News

すい臓がんの早期発見した場合

【これで私は助かった!】腹痛から“膵臓がん”見つかり命拾い
 見つかったときには手遅れだった-。がんの中でもこのケースが非常に多いのが「膵臓(すいぞう)がん」だ。早期発見の難しさはトップクラス。生還が最も難しい病気なのだが…。
 ■浜岡祥司さん(54歳=仮名)のケース
 膵臓がんが助かりにくいということは知っていました。だから自分が膵臓がんだと分かったときは観念しました。はっきり言って諦めていましたよ。
 きっかけは腹痛。それも「なんとなく痛い」という不快感に近いもの。胃薬を飲んでも効かず、酒の飲み過ぎだと思っていたんです。以前は会社でも一、二を争う大酒飲みでしたから。
 それでも1カ月も症状が続くと不安になってきて、そこでようやく病院を受診。症状を話すと胃カメラと超音波検査を受けることになりました。
 胃カメラでは異常はなかったものの、超音波の画像で膵管の微妙な広がりが写っていた。精密検査に進んで、CTとMRI検査の結果は「ステージ2の膵臓がん」。膵頭部に直径1センチほどのがんがあったのです。こんな僅かな病変からがんが見つかるとは驚きました。
 すぐに入院して、膵頭部と十二指腸を切除する手術が行われ、トータル1カ月ほどで退院。その後もがんが取り切れていない場合を想定して1年間の抗がん剤治療を受けました。
 抗がん剤の副作用は多少出たものの、副作用を止める薬を一緒に服用していたので、想像していたよりは軽く済みました。
 抗がん剤治療が終わってからも、定期的に検査は受けていますが、5年半が過ぎた今も転移や再発はナシ。医師の指示に従って、お酒はやめました。膵臓がんになって助かっただけでも命拾いなのに、それをみすみす捨てるようなことはできませんからね。
 ■専門医はこう見る
 膵臓がんが助かりにくいがんなのは事実です。よく「膵臓がんは背中が痛くなる」と言いますが、これはがんが脊椎の神経に浸潤して起きる症状。「黄疸(おうだん)」も同様で、膵がんに伴う自覚症状の多くは、がんがかなり進行していることを示唆します。
 早期で手がかりとなる症状というと、浜岡さんのような「上腹部の痛み」が挙げられますが、これも必ず出るわけではありません。つまり、自覚症状をアテにしていたのでは、なかなか完治は期待できないがんなのです。
 浜岡さんは「幸運」が重なったケースといえます。超音波画像の微妙な病変に気付いたのは医師や検査技師の技術が高かったから。この時点でがんが、一般的に「助かる見込みがある」とされる1センチ以下だったこともラッキーでした。
 オマケに膵臓がんの手術は食道がんと並んで難易度の高い手術。執刀する外科医には高い技術が求められます。その意味では、病院選びも重要なテーマとなります。
 こうした難関をクリアして初めて克服できる可能性が出てくる-というのが膵がんなのです。
 ただし、ハイリスクな人はいます。喫煙者、飲酒量の多い人、糖尿病の人-。特に中高年になって初めて糖尿病を指摘された人は要注意。これらに当てはまる人は、日頃から微妙な症状に注意して、年に一度の健診やドックを欠かさないことが重要です。
2011年12月7日 47News

NPOががんの治療法の研究

がん適切治療へ NPO設立

がんの治療法の研究や医療スタッフの講習を行うNPO法人が、愛知県内の多くの病院の医療スタッフが参加して設立されました。がん患者がどの病院にかかっても適切な治療を受けられるようにするためで、大学の医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。

設立されたのは、NPO法人「愛知キャンサーネットワーク」です。愛知県がんセンター中央病院などがん治療を行う愛知県内の25の病院から、医師、看護師、薬剤師などさまざまな職種のおよそ120人が参加しています。NPOでは、最新の情報を集めて抗がん剤治療のマニュアルを作ったり、定期的に勉強会を開いたりして、各職種のスタッフのレベルアップを図ります。

がんの治療を巡っては、地域の病院に医師を派遣する大学の医局ごとに治療方針や優先的に使う薬が異なることや関わるスタッフのレベルに差があることによって、治療に格差が生じると指摘されています。NPOはこうした格差の解消を目指していて、医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。

設立の中心になった愛知県がんセンター中央病院の室圭医師は「どの病院でも、どの地域でも、同じようにレベルの高い診療が受けられる医療を実現したい」と話しています。

2011年12月7日 NHK

NPOががんの治療法の研究

がん適切治療へ NPO設立

がんの治療法の研究や医療スタッフの講習を行うNPO法人が、愛知県内の多くの病院の医療スタッフが参加して設立されました。がん患者がどの病院にかかっても適切な治療を受けられるようにするためで、大学の医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。
設立されたのは、NPO法人「愛知キャンサーネットワーク」です。愛知県がんセンター中央病院などがん治療を行う愛知県内の25の病院から、医師、看護師、薬剤師などさまざまな職種のおよそ120人が参加しています。NPOでは、最新の情報を集めて抗がん剤治療のマニュアルを作ったり、定期的に勉強会を開いたりして、各職種のスタッフのレベルアップを図ります。

がんの治療を巡っては、地域の病院に医師を派遣する大学の医局 ごとに治療方針や優先的に使う薬が異なることや関わるスタッフのレベルに差があることによって、治療に格差が生じると指摘されています。NPOはこうした 格差の解消を目指していて、医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。
設立の中心になった愛知県がんセンター中央病院の室圭医師は「どの病院でも、どの地域でも、同じようにレベルの高い診療が受けられる医療を実現したい」と話していま す。
2011年12月7日 NHK

2011年12月7日水曜日

前立腺がんが転移する場合

 前立腺は男性特有のもので、ここで精液の主成分が作られています。この前立腺にがんが発生して前立腺がんとなります。
 若年での発症は家族性以外はまれで、加齢とともに増加し50歳以上で発症する場合が多くなります。
 欧米人での発症率が高く、食生活上の違いが背景にあるとされていますが、人種的には米国黒人男性で最も高い発症というデータがあります。続いて白人、アジア人となります。
 しかし、近年日本でも食生活の欧米化に伴い急増しています。困ったことに他のがん同様に早期症状に目立ったものはありません。比較的早期で症状があったとしても、そのほとんどは併発する前立腺肥大症に伴う症状ということになります。
 前立腺肥大症のテーマでも以前に触れましたが、主な症状は次の通りです。進行がんとなり転移する場合にはリンパ節と骨の症状が多くなります。

  1. 尿が出にくい
  2. 尿の回数が多い
  3. 排尿後にまだ膀胱に尿が残っている感じがする
  4. 夜間頻尿
  5. 排尿したいと思ったらトイレに行くまで我慢できない
  6. 下腹部不快感
 以上のような前立腺肥大症の諸症状から泌尿器科受診して、がんが発見されるケースがほとんどです。
 診断には画像診断、直腸診によりがんが疑われる場合に前立腺生検が行われて最終的診断となります。その他採血でPSA、前立腺特異抗原と呼ばれる腫瘍マーカーが早期発見に役立ちます。
 これは前立腺肥大症でも上昇することもありますが、4~10np/mlという数字ではグレーゾーンと呼ばれ、定期的な受診により経過観察が必要になります。
10np/ml以上ではその50~80%にがんが発見されています。早期発見のためにまずは健診を!

前立腺がんの腫瘍マーカー

前立腺は男性特有のもので、ここで精液の主成分が作られています。この前立腺にがんが発生して前立腺がんとなります。

 若年での発症は家族性以外はまれで、加齢とともに増加し50歳以上で発症する場合が多くなります。

 欧米人での発症率が高く、食生活上の違いが背景にあるとされていますが、人種的には米国黒人男性で最も高い発症というデータがあります。続いて白人、アジア人となります。

 しかし、近年日本でも食生活の欧米化に伴い急増しています。困ったことに他のがん同様に早期症状に目立ったものはありません。比較的早期で症状があったとしても、そのほとんどは併発する前立腺肥大症に伴う症状ということになります。

 前立腺肥大症のテーマでも以前に触れましたが、主な症状は次の通りです。進行がんとなり転移する場合にはリンパ節と骨の症状が多くなります。
  1. 尿が出にくい
  2. 尿の回数が多い
  3. 排尿後にまだ膀胱に尿が残っている感じがする
  4. 夜間頻尿
  5. 排尿したいと思ったらトイレに行くまで我慢できない
  6. 下腹部不快感
以上のような前立腺肥大症の諸症状から泌尿器科受診して、がんが発見されるケースがほとんどです。

 診断には画像診断、直腸診によりがんが疑われる場合に前立腺生検が行われて最終的診断となります。その他採血でPSA、前立腺特異抗原と呼ばれる腫瘍マーカーが早期発見に役立ちます。

 これは前立腺肥大症でも上昇することもありますが、4~10np/mlという数字ではグレーゾーンと呼ばれ、定期的な受診により経過観察が必要になります。

 10np/ml以上ではその50~80%にがんが発見されています。早期発見のためにまずは健診を!

2011年12月6日火曜日

応用範囲の広い がん新薬

がん細胞:増殖を半減させる酵素特定 東大チーム

がん細胞の増殖速度を半分に抑える酵素を、東京大先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授と大沢毅・特任助教(システム生物医学)らのチームが特定した。この酵素は、ほとんどのがん細胞にあり、応用範囲の広い新薬になる可能性がある。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

がん細胞は、正常細胞に比べて、低酸素や低栄養状態になりやすく、新しい血管を作って、栄養を確保している。

 チームは、人やマウスのがん細胞の栄養状態をさらに悪化させて、細胞内の成分を調べた。その結果、「ヒストン脱メチル化酵素」と呼ばれる酵素が生じていることを突きとめた。

 その上で、子宮(頸、けい)がんや皮膚がんなどさまざまながん細胞にこの酵素を注入し、マウスの皮下に移植した。すると、この酵素が血管の伸びを鈍らせたため、酵素を加えた細胞は、酵素なしのがん細胞に比べ、増殖の速さが半分から5分の1に抑えられた。

 大沢さんは「がん細胞の中で、この酵素の働きを高める技術を開発したい」と話す。

 2011年12月6日 毎日新聞

がん増殖を半分に抑制するがん新薬

がん細胞:増殖を半減させる酵素特定 東大チーム

がん細胞の増殖速度を半分に抑える酵素を、東京大先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授と大沢毅・特任助教(システム生物医学)らのチームが特 定した。この酵素は、ほとんどのがん細胞にあり、応用範囲の広い新薬になる可能性がある。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
 がん細胞は、正常細胞に比べて、低酸素や低栄養状態になりやすく、新しい血管を作って、栄養を確保している。
 チームは、人やマウスのがん細胞の栄養状態をさらに悪化させて、細胞内の成分を調べた。その結果、「ヒストン脱メチル化酵素」と呼ばれる酵素が生じていることを突きとめた。
 その上で、子宮(頸、けい)がんや皮膚がんなどさまざまながん細胞にこの酵素を注入し、マウスの皮下に移植した。すると、この酵素が血管の伸びを鈍らせたため、酵素を加えた細胞は、酵素なしのがん細胞に比べ、増殖の速さが半分から5分の1に抑えられた。
 大沢さんは「がん細胞の中で、この酵素の働きを高める技術を開発したい」と話す。
 2011年12月6日 毎日新聞

2011年11月30日水曜日

がん治療ローンの利子を補助

がん先進医療、鳥取県がローン制度 国内初 利子相当額、県が助成

 鳥取県は、県民が健康保険の対象とならない高額ながんの先進医療を受ける際に、利子相当額が助成されるローンを、指定する金融機関で組むことができる全国初の制度を創設した。指定機関として山陰合同銀行と鳥取銀行が12月1日に県と協定を締結。合銀は2日から、鳥銀は来年6月ごろから運用を開始し、ローンの申し込みに応じる。

 がんの先進医療を受けるための借金に対する利子補給制度は、すでに数県で創設されているが、いずれも自県にある高度医療施設を利用する場合に限られている。これに対して鳥取県の制度は、厚生労働省が認めるがんの先進医療であれば国内どこの医療機関で受けても対象となる。

 事実上無利子となるこの制度による借り入れ額は上限300万円で、最大6%までの利子相当額を最大7年まで助成。専用のローン自体を指定金融機関が商品化するのも全国初で、すでに「鳥取県がん先進医療費ローン」を商品化した合銀は、金利を年5・8%と決めた。

 ローンを組むためには、まず病院に治療実施計画書を作成してもらい、「先進医療分」の医療費を算出。これを県が審査して同制度の対象と承認されれば、指定金融機関に専用ローンの利用を申し込むことができる。金融機関側の審査を通ればローンが組まれ、利用者は1年間に支払った利子分の補給を翌年初めに申請するシステムとなっている。

2011.11.30 産経新聞

2011年11月29日火曜日

がんリスク高い食事とがんリスクを下げる食事

肉食女子、がんリスク1.5倍 8万人を10年調査

 肉類を食べる量が多いと、結腸がんになるリスクが約1.5倍高いことが、国立がん研究センターの研究班の調査でわかった。大阪や岩手、茨城、秋田、新潟、長野、高知、長崎、沖縄など9府県の45~74歳の男女約8万人を10年以上追跡した。欧米より肉を食べる量が少ない日本では、これまで結腸がんと肉食の因果関係が不明だった。

 研究班は、調査追跡期間中に結腸・直腸がんになった男性714人、女性431人について肉類を食べる量で5グループにわけ、がんの発生率を比べた。

 すると、男性は、ハムやソーセージも含めた肉類全体の摂取量が1日約130グラムのグループは、20グラムのグループの約1.4倍、結腸がんのリスクが高かった。女性は、牛肉や豚肉を1日約90グラム食べるグループは、約10グラムのグループの約1.5倍、結腸がんリスクが高かった。

2011年11月29日 朝日新聞

2011年11月28日月曜日

「息」の匂い検査でがん発見の新技術

胸部X線検査より、喀痰検査より、診断感度が高い?

肺がんを嗅ぎ分ける「がん探知犬」登場
がん特有の匂い物質と呼気検査
 この8月、欧州呼吸器学会誌に、吐いた息から肺がんを嗅ぎ分ける「がん探知犬」の研究結果が報告された。
 それによると、肺がんに特有の匂いを嗅ぎ分けるように訓練された犬は、肺がん患者の呼気サンプル100例中71例を「陽性」とし、健康な人の呼気、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の呼気400例に対しては93%に「陰性」の判断を下した。一般診療で胸部X線による肺がんの検出感度は80%、喀痰検査は40%前後であり、堂々、それ以上の結果が示されたというワケだ。
 臭覚に優れた犬が「がんの匂い」に反応することは以前から知られている。最初の報告は1989年に医学雑誌「Lancet」に掲載された論文。コリーとドーベルマンの混合種の雌犬が飼い主のホクロに異常な関心を示したため、不審に思った飼い主が受診したところ、悪性黒色腫が発見された例が紹介されている。
 これが世界中で大反響を呼び、同様の報告が相次いだ。なかには通常の尿検査で「陰性」だった患者が探知犬の「陽性」判定を受けて、精査したところ腎がんが発見されたという例もある。日本では2005年から続けられている千葉県南房総市の「セントシュガー がん探知犬育成センター」の研究が嚆矢。今年初め、医学誌「Gut」に報告された九州大学医学部第二外科のグループとの共同実験では、ラブラドールレトリバーの「マリーン」(9歳、雌犬)が9割以上の確率で大腸がん患者の呼気サンプルを嗅ぎ分けた。
 ただし、臭覚の個体差や特殊訓練に費やす時間とコストからして検診施設に「がん探知犬」が配属される、なんてことはありえない。そのあたりは研究者も現実的で、実際は探知犬で存在が証明されたがん種特有の匂い物質「揮発性有機化合物」の特定に力を入れている。これがかなえば、すでに一般的に使われている匂い感知器の「電子鼻」を医療用に改良し「匂いの“腫瘍マーカー”による究極の低侵襲検査が実現する」(臨床医)だろう。
 日本人の嗜好からするとがん探知機能搭載の犬型ロボットを開発しそうだが、ともあれ、がん検診に「呼気検査」項目が追加される日は近いかもしれない。


2011年11月28日 週刊ダイヤモンド

2011年11月24日木曜日

がん細胞の取り残しを見つける方法

がん細胞を光らせる試薬開発

CTなどでは判別が難しい大きさ数ミリのがんを光らせて、ごく短時間で検出できる試薬を、東京大学などの研究グループが開発しました。肉眼で確認できないがんを見つけ、取り残しを防ぐ技術につながると期待されています。

東京大学の浦野泰照教授とアメリカ国立衛生研究所の小林久隆主任研究員らのグループは、がん細胞の表面に多く現れる「GGT」という酵素に注目し、この酵素に触れると化学変化を起こして緑色に光る試薬を開発しました。

そして、ヒトの卵巣がんを移植したマウスの腹部に試薬を吹きつけたところ、1分ほどで、点在していた1ミリ以下のがんが光りだし、肉眼ではっきりと確認できたということです。今のところ、がん細胞を検出できる確率は卵巣がんで3分の2ほどですが、研究グループでは、さらに細胞の性質を調べて確実な検査法にしたいとしています。
今回利用したGGT酵素は、肺がんや肝臓がん、それに乳がんや脳腫瘍などにも現れるということで、実用化できれば、手術の際に肉眼で確認できないがんを見つけ、取り残しを防ぐ技術につながると期待されています。浦野教授は「手術中にスプレーして小さいがんをその場で見ることができれば、見落としの問題を克服できる。実用化に向け研究を進めたい」と話しています。

 

2011年11月24日 NHK

2011年11月22日火曜日

副作用が無く、効果大の抗がん剤新薬

副作用ほとんどない抗がん薬、浜松医科大が開発
浜松医科大(浜松市)は22日、副作用を軽減させる抗がん剤開発を進め、動物実験で効果が得られたと発表した。今後、臨床試験に入り、実用化を目指す。
研究グループの杉原一広准教授によると、悪性腫瘍(がん)は1~2ミリ以上になると、栄養を取り込むため「新生血管」を生じさせる性質がある。グ ループは、アミノ酸がつながってできる「ペプチド」の一種が、新生血管に集まりやすい特性を発見。新生血管だけに薬が運ばれるよう、ペプチドと組み合わせ た抗がん剤を開発した。
同大が、米サンフォードバーナム医学研究所と行った共同研究で、この抗がん剤をがん細胞を持つマウスに投与したところ、従来の約40分の1の量 で、19日目にがん細胞がほぼなくなり、副作用は全く認められなかったという。成果は、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表される。
2011年11月22日 読売新聞

2011年11月15日火曜日

新素材には発がん性が指摘

構造により発がん性に大きな差

さまざまな分野での活用が期待されている炭素で出来た新しい素材「カーボンナノチューブ」は、一方で発がん性が指摘されていますが、構造によってがんの起きやすさに大きな差があることが、名古屋大学などのグループが行った実験で分かりました。

実験を行ったのは、名古屋大学の豊國伸哉教授らのグループです。カーボンナノチューブは高い強度があり、電気をよく通すことから、携帯電話の電池などに使われ、今後、さらに広い分野での活用が期待されていますが、微粒子の状態で大量に体に取り込まれると、がんの一種「中皮腫」を引き起こすおそれがあると指摘されています。

グループでは、太さや硬さを変えた3種類のカーボンナノチューブを水に混ぜてネズミの腹部に大量に注射しました。その結果、太さが直径50ナノメートルで硬く曲がりにくいカーボンナノチューブは、細胞に刺さり、すべてのネズミが中皮腫を発症したのに対し、直径が15ナノメートルと極めて細く曲がりやすいものでは、発症したネズミはいませんでした。

また、硬くて曲がりにくくても、直径を150ナノメートルと太くしたものでは、発症率は17%にとどまりました。豊國教授はヒトへの影響はさらに研究が必要だとしていますが、「太さや硬さといった構造で発がん性の度合いが異なることが分かったので、研究を進めれば、より安全なカーボンナノチューブの開発に役立つ」と話しています。

2011年11月15日 NHK

2011年11月9日水曜日

血液1滴で精度100倍以上のがん検査

島津製作所、がんの目印検出感度100倍に
 島津製作所は8日、病気の目印になる分子を従来の100倍以上の感度で検出できる技術を開発したと発表した。検出に使う抗体たんぱく質の構造を、目印分子に結合しやすいよう改良した。ノーベル化学賞受賞者でもある同社の田中耕一フェローは記者会見し、「がんなどの目印を血液1滴から検出できるようになる。病気の診断や原因解明に役立ち抗体医薬の改良にもつながる」と期待を語った。
 抗体は体内で免疫反応を担う。アルファベットの「Y」に似た形のたんぱく質で、2本の“腕”を使って特定の分子に結合する。田中フェローらは腕の付け根部分に、ばねのような形のポリエチレングリコールを組み込んだ抗体を設計した。2本の腕は通常、固定されほとんど動かないが、新しい抗体では回転や伸び縮みするため、目的の分子とより結合しやすい。
 アルツハイマー病の原因物質の一つとされる「アミロイドベータ」を使って実験し、結合能力が従来の100倍以上に高まることを確認した。ごく微量しか存在しない分子も検出できるようになる。血中の微量なたんぱく質を検出し、がんやアルツハイマー病などを早期診断する技術につながる。少ない投与量でも高い効果が得られる抗体医薬を開発できる可能性もあるという。
2011年11月8日 日本経済新聞 

ウイルスから優れた坑がん作用の新薬候補

韓国人研究チーム、画期的な抗がん新物質をウイルスから発見
ウイルスから坑がん作用の優れた新物質が発見された。韓国生命工学研究院のキム・ミョンヒ博士と米南カリフォルニア大学のチョン・ジェウン教授チームは8日、新しい坑がん治療剤を開発できる可能性が大きいこうした新物質を見つけたと明らかにした。研究結果はネイチャー姉妹紙の「ネイチャー構造分子生物学誌」11月号電子版に発表された。
人体にはがんと戦う代表的な遺伝子の「p53」がある。この遺伝子がまともに作動しなければがんにかかりやすくなり、がん治療もうまくできない。この遺伝子を操縦する2種類の酵素としてたんぱく質分解抑制酵素(HAUSP)とたんぱく質分解誘導酵素(MDM2)がある。
科学者はこの2種類の酵素を調節できる物質をこれまで探していた。研究チームはHAUSPとウイルスたんぱく質が混ざり合った物質の構造を究明し、ウイルスから出たペプチド「vif1、2」を見つけ出した。このペプチドは少ない数のアミノ酸でできたたんぱく質で「p53」ががん細胞を殺せるよう助ける。
2011年11月09日 中央日報

2011年11月2日水曜日

抗がん剤による味覚障害

薬が招く味覚障害
抗がん剤では高頻度
超高齢化で増加傾向
 「味が分からない」「口の中が苦い」などの症状が現れる味覚障害。その原因の一つに薬の副作用がある。中でも抗がん剤は高い頻度で異常を引き起こすとされるが、ほかにも多種多様な薬剤が引き金になり得る。年を取ると老化で味覚が鈍くなるのに加え、生活習慣病などで薬の服用も増える。超高齢化が進む日本で、薬剤性の味覚障害は増加傾向にあるという。
▽80%近い薬も
 「吐き気や骨髄抑制といった抗がん剤によるほかの副作用に比べると、味覚の変化は不明な点が多く、十分な対処がされていない」。四国がんセンター 薬剤科の田頭尚士さんはこう指摘する。
 発生状況を明らかにし、患者への的確な情報提供につなげようと、田頭さんらは昨年6~7月、外来でがん化学療法を受けた患者381人を対象に、抗がん剤投与後の味覚の変化についてアンケートを実施した。
 その結果、「味覚変化があった」と答えた人は全体の47%。薬剤ごとの発生頻度を調べると、最も高かったのは「エピルビシン」で78・9%。次いで「シクロホスファミド」75・0%、「ドセタキセル」73・2%。また、乳がん治療で用いられるエピルビシンとシクロホスファミドの併用では実に84・6%が味覚の変化を訴えた。 田頭さんは「極めて多くの患者さんが味覚の異常を感じていることが分かった」と話す。
▽240種類
 そもそも味覚障害とはどういうものか。
日本大医学部 の池田稔教授(耳鼻咽喉科)によると、症状で最も多いのは味が分からなくなる味覚低下。次が、何も食べていないのに口の中が苦くなる自発性異常味覚。頻度は低いが、本来の味と違う感じ方をする錯味症や、何を食べてもまずく感じる悪味症もある。
 舌の表面や、軟口蓋と呼ばれる口の奥の部分には、味細胞が集まってできた「味蕾」という組織がある。この味蕾が味を受け止め、味覚神経を通じて情報を脳に伝える。こうした一連の経路のどこかに異常が生じると、味覚がおかしくなる。
 原因はいろいろだが、同大が以前、味覚外来の受診者2278人を調べた結果によると、最も多かったのが薬剤性で、全体の約22%を占めた。
抗がん剤だけでなく、味覚障害を引き起こす可能性がある薬剤は多い。分かっているだけで約240種あり、降圧剤や利尿剤、抗生物質、高脂血症薬、抗不安薬など薬効もさまざまだ。
 ▽亜鉛と結合
「体内で亜鉛が不足すると味細胞のターンオーバー(生まれ変わり)が遅くなり、強いダメージを受けることが動物実験などで判明している。薬には、亜鉛と結合して体外に排出する作用を持つものがあり、味覚障害を引き起こすと考えられている」と池田さん。
 ただ、薬剤性のすべてが亜鉛との関連で説明できるわけではない。薬剤による味細胞の直接的破壊や神経伝達の阻害、特定遺伝子の働きの抑制などが原因となっているケースもあるらしい。
 味覚障害は食欲不振を招き、栄養状態を悪化させる。QOL(生活の質)を低下させるだけでなく、治療の妨げになることもある。薬剤性が疑われたら、原因とみられる薬の減量や中止、ほかの薬への変更を行い、亜鉛製剤などを内服するが、抗がん剤のように簡単に減量や中止をできない薬もある。前向きに治療を受けるために、少しでもおいしく食べられるような献立や調理の工夫も必要だ。
2011年11月1日 共同通信

2011年10月27日木曜日

マムシ,さそりの毒からがん新薬作成

イラン人研究者、新たな抗がん構造を発見


イラン人研究者が、がん細胞を抑制するための新たな原子構造を発見しました。
この新たな構造は、ICD85と呼ばれ、ラーズィー血清開発ワクチン研究所で、マムシやさそりの毒から作成されました。
ラーズィー血清開発ワクチン研究所のザーレ研究員は、「この新たな構造は、15年に及ぶ研究によって発見されたものであり、乳がん、白血病、腎臓がん肺がんを抑制する効果がある」と語りました。さらに、「現在、この新たな構造は、ウサギとマウスを対象に実験が行われ、成功を収めている」としました。
また、「この新たな構造は、人間の生きた細胞に対しても実験的に用いられ、好ましい結果が得られている」としています。現在、がんの治療法のひとつに放射線治療がありますが、それは健康な細胞にも害を及ぼします。
ザーレ研究員は、「様々な実験は、この新たな構造なら、ほぼ完全にがん細胞のみを標的にすることができることを示している」と語りました。
さらに、「数々の調査によれば、この新たな原子構造を利用しても、がん患者の脱毛といった副作用を引き起こすことはない」と述べています。
イランは、この科学的な業績を手にした、世界でも限られた国の一つとなっています。
2011年 10月 25日 イランラジオ

2011年10月24日月曜日

糖尿病を完全に克服する根治療法へ

細胞シートで糖尿病根治 東京女子医大など治療法
膵臓の細胞培養し皮下移植


東京女子医科大学の大橋一夫特任准教授と福島県立医科大学の後藤満一主任教授らは、膵臓(すいぞう)の細胞(膵島細胞)をシート状に培養して移植する新しい糖尿病の治療法を開発した。マウスの実験で長期間、血糖値を正常に保つことを確認した。膵島細胞をじかに移植する治療法よりも効果が高いという。将来、iPS細胞(新型万能細胞)と組み合わせれば、糖尿病を完全に克服する根治療法の実現につながるとみている。


ラットの膵島細胞を採取し、特殊な培養皿の上で直径2センチメートル、厚さ15マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのシート状に培養した。糖尿病のモデルマウスの背中の皮膚の下に2枚のシートを重ねて移植し、約4カ月間、血糖値の変化をみた。


11匹すべてで移植後約3日目から血糖値が正常になり、エサを与えた後も糖尿病でよくみられるような異常な急上昇はなくなった。
移植したシートを調べると、膵島と同じように、β細胞が円の中心部分に集まり、外側をα細胞が取り巻いていた。β細胞は血糖値を下げるインスリンを、α 細胞は血糖値を上げるグルカゴンを出す。両細胞が規則正しく存在することで血糖値が高い時は下げ、下がると自然に正常値に戻し低血糖になりすぎるのを防いでいるとみられる。


膵島移植のように、膵島細胞を直接マウスの肝臓の血管に入れた場合、血糖値は少し下がるものの、正常値まではなかなか下がらなかった。「シート化することで一定量の細胞が塊となり、効果を高めた。臨床への応用が十分期待できる」(後藤主任教授)という。


東京女子医大はカナダのアルバータ大とも共同研究を進めており、ヒトの膵島細胞のシート培養に成功した。今後、動物に移植して安全性と有効性を確認した上で、臨床応用を目指す。
また、患者から採取した膵島細胞を一定量まで増やすのは難しいため、iPS細胞から膵島細胞を作製し、シート化していくことも検討する。


2011年10月24日 日本経済新聞

東京女子医科大学

2011年10月18日火曜日

肉腫治療に新薬期待  東大が世界初ゲノム創薬 で新薬治験

肉腫治療へゲノム創薬 世界初 東大が研究、仏で治験

 これまで治療薬がなかったがんの一種、肉腫に対する新しい抗体薬を東大医科学研究所の中村祐輔教授の研究室が作り出し、承認に向けてフランスでヒトへの臨床試験(治験)を開始することが16日、分かった。この薬はゲノム(全遺伝情報)解析から標的を見つけたのがきっかけ。中村教授によると、全ゲノム情報を出発点に創薬(抗体薬)が実現すれば、肉腫治療薬の分野で世界初の成果になる。


 今回の抗体薬は腕や足などにできる「滑膜肉腫」と呼ばれる肉腫に対するもの。ゲノム研究の第一人者である中村教授が平成14年、ゲノム情報を応用する形で研究に着手。研究室でマウス実験などを繰り返した結果、肉腫治療に応用できる抗体を突き止めた。
 仏保健当局から正式承認が下り、臨床試験が仏リヨンの病院、レオンベラールセンターで12月にも始まる。仏以外の欧州連合(EU)各国にも試験を拡大する計画もある。


 滑膜肉腫を含めた肉腫は主に10代から20代に発症する命にかかわる難病だが、治療薬の開発はほとんど進んでいない。このため、治療に道筋を示した論文内容を知った欧米の患者から問い合わせが相次ぎ、患者家族が研究室を訪れたこともある。
 一方で、日本の対応は冷ややかだ。研究室では日本で臨床試験を行うため、科学技術振興機構の創薬イノベーションプログラムの補助金申請に応募したが、「開発計画の妥当性・実用化の可能性」がないとの理由で却下された。
 日本での対応とは対照的に仏の専門医からは、「非常に大きな研究成果だ。ぜひうちで臨床試験をやらせてほしい」と申し出があったという。仏からは補助金も得られることになった。
 臨床試験の準備を進めてきた創薬ベンチャーのオンコセラピー・サイエンス(川崎市)の角田卓也社長は「肉腫の治療薬は市場が小さく大手が参入しなかった。臨床試験が成功すれば、世界の患者に治療の道が開ける」と創薬実現に期待を込める。
 ただ、中村教授は内閣官房医療イノベーション推進室長を兼ね、本来なら日本発の医薬品開発を推す立場にもある。
 中村教授は「私の研究だけでなく、角膜再生医療も日本発のシーズ(技術・情報の種)なのに臨床試験は欧州となった。その理由は創薬や先端的医療は霞が関行政の谷間にあるからだ」と、日本での体制づくりが急務と指摘している。


【用語解説】ゲノム創薬
 ヒトゲノム(全遺伝情報)を解析し、疾患や体質の原因となる遺伝子を突き止め、その情報を元に新しい医薬品やより効果的で副作用の少ない薬の研究、開発をする手法。ヒトゲノムのDNAの塩基配列が2003(平成15)年に日米英などの国際チームによって解明されたことで、創薬の動きが加速した。病気の原因に直接作用するため、薬の効果が高まることや、患者の遺伝子情報に基づいた個別の創薬も可能になることが期待されている。

2011年10月17日  産経新聞

2011年9月26日月曜日

痛くない乳がん新検査法は1分間で1ミリまで検出

乳がんを光で検査 キヤノンや京大、1ミリまで検出 体の負担小さく

 キヤノンや京都大学の椎名毅教授、戸井雅和教授、鍛利幸・特定准教授らは光で乳がんを検査する新技術を開発し、約1ミリの小さながんをとらえるのに成功した。エックス線や核種を使わず被曝(ひばく)の心配がない。マンモグラフィーよりも乳房を押さえる力が弱く検査を受ける人の負担が小さい。2015年ごろの実用化を目指す。

 新技術は波長数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの光を乳房に照射。血液などの生体組織が光を吸収して発生する熱で一瞬膨張すると、超音波が出る。これを外部に設置したセンサーで検出して調べる仕組み。乳房を押さえつける力はエックス線を使うマンモグラフィーの約5分の1で済む。

 約40人の乳がん患者を検査し、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像と照らし合わせて約1ミリの小さながんまで検出できた。計測時間は約1分。来春にはさらに縮めた改良型で臨床試験を始める考えだ。

 光は波長により吸収される分子が変わる。がん組織周辺は低酸素状態といった特徴があり、がんを見極められる。今後、新技術と既存の超音波検査を併用できる装置にして実用化を目指す。京大の「先端医療機器開発・臨床研究センター」で取り組む。キヤノンが建設に約5億円を寄付した。

2011年9月25日 日本経済新聞

がん患者血液集めて遺伝子解析

がん患者の血液など収集、抗がん剤開発に活用 国立がんセンター

 国立がん研究センターは、がん患者から血液やがん組織を研究用に提供してもらって保管するバイオバンク事業を本格的に始めたと発表した。10年間で約8万人分の試料を集める計画。詳細な遺伝子解析を通じて、抗がん剤の開発やがん発症のメカニズムの解明などの研究につなげる。

 同センター中央病院(東京・中央)と東病院(千葉県柏市)を新たに受診する患者全員が対象。遺伝子の解析や研究の目的などを説明する専任の説明員10人を新たに配置した。同意してくれた患者から血液と手術時などにとれたがん組織の一部などを提供してもらう。同意の有無で診療内容が左右されることはない。

 5月から試行し、9月までの約4カ月間で対象患者の95%にあたる3200人余りが提供に同意した。年間に約8000人分の試料を集める予定。嘉山孝正 理事長は「先進的な治療・診断技術の開発に遺伝子解析は不可欠。研究の意義などを理解してもらい、研究用のインフラ(基盤)としていきたい」と話す。  

2011年9月24日  日本経済新聞

放射線をリアルタイム追尾でがん病巣へ

がん、放射線で狙い撃ち 京都大成功、病巣を追尾

 京都大病院放射線治療科の平岡真寛教授は20日、病巣を追尾しながら、がんにピンポイントで放射線を照射する手法の開発に世界で初めて成功し、肺がん治療を始めたと発表した。従来は、呼吸に伴って体が動くため病巣をリアルタイムで正確にとらえることが難しかった。

 平岡教授は「副作用を軽減し、病巣により強く照射できるようになった」と話している。

 同教授によると、2000年から三菱重工業(東京)などと装置を開発。照射ヘッドの向きを変えることで、動く病巣をリアルタイムで狙えるようにした。

2011年9月20日 共同通信

LEDで発生する光でがん検出

LED光でがんの抗体検出に成功

 発光ダイオード(LED)の光でがんを診断する技術が開発された。

 韓国科学技術院(KAIST)は20日、イ・ゴンジェ新素材工学科教授の研究陣が、窒化ガリウム発光ダイオード(GaN‐LED)を用いてがんの抗体を 検出することに成功したと発表した。抗体は抗原と結合し、各種免疫反応を引き起こす。研究陣は、がんの抗原‐抗体反応によってLED光への感度に差が出る 点を活用し、前立腺がんの抗体を検出したという。また研究陣は、よく曲がるプラスチックの基盤にLEDを取り付け、脳に付着させたり血管・脊椎(せきつい)などを包むことができるようにした。

 イ教授は「LEDで発生するさまざまな波長の強い光を利用すれば、神経細胞を刺激でき、病気の治療にも応用できるだろう」と語った。今回の研究結果は、学術誌『ナノ・エナジー』9月号電子版に掲載された。

2011年9月22日 朝鮮日報

2011年9月22日木曜日

10億ドルを費やす新しい腫瘍治療5カ年計画

腫瘍治療ソリューション開発の5カ年計画=英社〔BW〕

医療機器大手の英GEヘルスケアは、新しい腫瘍治療ソリューションの開発に10億ドルを費やす5カ年計画を発表した。陽電子放射断層撮影(PET)やコン ピューター断層撮影(CT)、PET用トレーサー生産システム、リアルタイムの代謝イメージングを可能とするC13薬剤、がん研究に活用できる超解像顕微 鏡に加え、タキサン療法の有効・無効を患者ごとに判定するための新しいバイオマーカー、がん標的治療薬の開発技術など、総合的な個別化医療に貢献する技術 開発に力を入れていく。

2011年9月22日 ビジネスワイヤ

がんに集まる新型高分子を開発

京大・島津、がんに集まる新型高分子 免疫すり抜け患部に

京都大学の木村俊作教授と島津製作所は、がんの診断と治療の両方に使える高分子を開発した。大きさを20ナノ(ナノは10億分の1)メートル前 後にすると、体の免疫反応をすり抜けてがんの患部に繰り返し集まることをマウスの実験で確認した。通常は免疫反応が起きるため、せっかくがんに届く化合物 を作っても繰り返し使えない。効率的ながんの診断と治療に役立てるため、1年後の臨床応用に向けて準備を始めた。
開発したのは、がん患部に集まる性質がある「ラクトソーム」と呼ぶ球状の高分子。材料にはポリ乳酸など体内で自然と分解するものを使った。がんの周りには血管が多くあるため、注射で血管に入れた高分子は体内を巡りながらがん周辺に集まってくる。

2011/9/22 日経産業新聞

2011年9月15日木曜日

すい臓がんに効く食品

ごぼうの種ですい臓がん治療

漢方薬として使われてきたごぼうの種の成分が、すい臓がんの治療に役立つ可能性があることが富山大学などのマウスを使った実験で分かり、治療薬の開発を目指して臨床試験が始まりました。

この研究は、富山大学の和漢医薬学総合研究所と、国立がん研究センター、それに富山県高岡市の製薬会社が、共同で取り組んでいるものです。研究グループは、自覚症状がほとんどなく、手遅れになることが多いすい臓がんの治療に漢方薬を利用できないか調べるため、500種類以上の漢方薬の成分を試験管の中のすい臓がんの細胞に直接、投与したところ、解熱剤として使われてきたごぼうの種に含まれるアルクチゲニンという成分にがん細胞を小さくする効果があることが分かりました。

また、すい臓がんを発症させたマウスにアルクチゲニンを口から与えたところ、およそ1か月後には投与しなかったマウスに比べてがん細胞の成長が3分の1ほどに抑えられたほか、アルクチゲニンを与えたマウスでは与えないマウスの倍の100日程度生きていたケースもあったということです。

実験結果を受けて研究グループは、先月下旬から、すい臓がんの患者に顆粒状にしたアルクチゲニンを服用してもらう臨床試験を始めており、安全性や有効性を確認できればすい臓がんの治療薬として開発を進めることにしています。富山大学和漢医薬学総合研究所の門田重利教授は「ヒトに対しても治療効果があることを証明し、すい臓がん患者を助けられるよう新しい薬を作りたい」と話しています。

2011年7月5日 NHK

肺がんの最先端手術機器にも技術力が問われる

肺がん 胸腔鏡下手術の発展型「ダ・ヴィンチ手術」とは

肺がんには大別すると小細胞肺がん約2割)と非小細胞肺がん(約8割)がある。小細胞がんは進行が早く、転移していることが多いので、一般的には化学療法が適用される。一方、非小細胞がんは局所に留まっていることが多いので、早期なら手術が適用される。

 手術の方法には「開胸手術」と「胸腔鏡下手術」がある。開胸による手術は治療後も痛みが長く続き、負担が大きいが、「胸腔鏡下手術」は、体の側面に小さな穴を開け、内視鏡の一種である胸腔鏡を挿入し、がん部分を切除するため体への負担が小さい。

 胸腔鏡下手術を積極的に導入しているのが熊本大学医学部附属病院だ。

「CT検査では、約5ミリ以上のがんなら約95%は発見できるので、早期発見が増えています。当院では、肺がんのステージがI期と診断された場合は、胸腔鏡下手術を第一選択とします。手術の対象となる患者さんのうち、約2割が開胸手術、約8割が胸腔鏡下手術です」(同院呼吸器外科科長・鈴木実教授)

 胸腔鏡下手術も当然のことながら技術力が問われる。岩手医科大学附属病院の呼吸器外科・谷田達男教授は「肺がん治療では同じスタッフが年間約100症例について胸腔鏡下手術を担当し、テクニック的にも熟達しています」と胸を張る。

 また、胸腔鏡下手術の発展型ともいえるのが「ダ・ヴィンチ手術(ロボット支援手術)」だ。内視鏡とロボットアームを患者の体内に挿入し、3Dモニターを見ながら手術をするシステムで、導入している病院はまだ少ない。金沢大学附属病院ではこの1月からダ・ヴィンチを導入した。

「ダ・ヴィンチは術者の手にあたるサージカルアームや鉗子の自由度が高くて動きに制約を受けにくい。がんの切除や縫合、結紮が容易にでき、呼吸器の領域でも大きなメリットがあるのです」(同院診療科外科呼吸器科長・小田誠教授)

2011年9月15日 週刊ポスト2011年9月16・23日号

上手ながんとの折り合い方

がんと折り合う 「諦めず自分らしく」

がんで悩む人に読んでほしい」と語る久保田医師

 県立がんセンター久保田彰・頭頸部(けい・ぶ)外科部長(56)が、上手ながんとの折り合い方を一冊の本にまとめた。医学書でも、医学用語で治療法を細かく記した本でもない。「我慢しないで、諦めないで、自分らしく生きていくための参考にしてほしい」と語る。

 この本は「知っていると楽になる、がんとの付き合い方―がんで悩んでいるあなたへの処方箋(・・せん)」。

 「がんを怖がらないで」「焦らず自分が納得できる治療法を選ぶ」「痛みはがまんしない」――。冒頭には「がんと上手に折り合うための15カ条」が並ぶ。20年以上がんと向かい合ってきた久保田医師が、患者やその家族から教えられてきたことなどをまとめた。

 久保田医師自身、かつては生存率を上げるのが正しい治療法と思い、それを選択してもらうよう患者に説明してきた。後遺症のない手術は少ないが、「生きる」ために後遺症に耐えることは仕方がないと考えていた。

 久保田医師は、がんを再発した男性に、「外来治療では弱い抗がん剤治療になって効果も薄れる」と暗に入院治療の継続を勧めたことがあった。しかし、自宅療養を希望する男性は「妻と自宅でゆっくり過ごしたい」と退院。男性は亡くなったが、妻は「濃密で幸せな時間」に感謝していた。

 「医療の役割は、単に残された時間を引き延ばすのではなく、上手に有意義に過ごしてもらうためにいかにサポートするかだと学びました」と久保田医師。著 書では、夫の献身的な支えで奇跡的に回復した妻、がんになったことでいろいろ学んだと前向きにとらえる若者など、出会った様々な患者と家族が登場する。

 生存率より、生きる質を選ぶ患者がたくさんいる。患者自身が納得できる道を選べるよう、きちんと説明し、寄り添うことが医療の役割――久保田医師はそう考えるようになった。

 この本には、久保田医師のそんな思いが多くの経験とともに込められている。「今、がんに悩んでいる人に読んでもらい、自分自身がどう過ごしたいかを考える手助けになればうれしい」と話す。

 1200円(税別)。問い合わせは出版元のかまくら春秋社(0467・25・2864)へ。

がんと上手に折り合うための15カ条から抜粋>
  • 納得する治療を選ぶ。答えは一つではない。
  • がんを患った時こそ、人生を豊かに生きるため何が大切か考える。
  • 家族、友人こそ本当の財産。助けてもらおう。
  • がんを加勢する酒やたばこをやめよう。
  • 痛みは有意義な時間を奪う。がまんしないで。
2011年09月14日 朝日新聞

2011年9月14日水曜日

血液がんの原因遺伝子特定から治療薬開発

東京大学研究チーム、がんの一種の遺伝子解析に成功

血液がんの原因となっていた遺伝子が解明された。

今後、治療薬や診断法が開発される見通しだ。血液のがんの一種「骨髄異形成症候群」である。骨髄に造血幹細胞の前腫瘍細胞である異型クローンが生じ、正常の造血が抑制されてしまう症状であり、2002年の統計では国内で3000人程度の発症者が存在する。

この病気は有機溶剤、化学物質、放射線、抗癌剤などによって遺伝子が変異し発症すると言われていたが、今回は世界で初めて原因遺伝子が特定された模様だ。

12日、血液のがんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見したと発表したのは小川誠司・東大特任准教授(がん分子遺伝学)らの研究グループ。発表は英科学誌ネイチャー電子版にて行われた。日本、ドイツ、台湾の24~88歳の患者29人を対象にし、共通して変異していた遺伝子を複数発見する事に成功した という。今後、同発見を基にして診断法や治療薬開発が行われる事が大いに期待されている。   

2011年9月13日 日刊テラフォー

がん不妊男性の生殖能力を温存

体外で幹細胞から精子作製 「生殖能力温存に期待」

 マウスの精子の元になる精原幹細胞を、体外で精子にまで成長させることに横浜市立大医学部の小川毅彦准教授(泌尿器病態学)らのチームが成功し、13日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(電子版)に発表した。
 これまで精原幹細胞を培養することはできたが、精子にするためには、いったん精巣に戻す必要があり、完全に体外でつくったのは初めて。この精子を使った子どもも生殖能力があることが確認された。
 小川准教授は「人でも同じことが可能になれば、がん治療で不妊になる恐れがある男性の生殖能力を温存することが期待できる」としている。
2011年9月14日 共同通信

特殊なナノ粒子で免疫細胞を訓練

ナノ粒子を利用した大腸がん治療、韓国チームが開発
ソウル大学・高麗大学が共同研究

『ネイチャー・ナノテクノロジー』電子版に掲載

韓国人男性の大腸がん発生率はアジアで第1位という数字が、世界保健機関(WHO)から発表された。そんな中、直径が髪の毛の1万分の1という微小粒子を扱うナノテクノロジーを利用し、大腸がんの細胞を攻撃する治療法が、韓国の研究陣によって開発された。

ソウル大学医学部のチョ・ナムヒョク教授、ソン・スンヨン教授のチームと高麗大学工学部のキム・ヨングン教授のチームなどは13日、大腸がんの細胞が作り出すタンパク質を付着させた特殊なナノ粒子で患者の免疫細胞を訓練し、大腸がんを効率的に攻撃させる技術を開発したと発表した。研究チームの論文は今月11日、ナノ技術分野で最高の権威を誇る学術誌『ネイチャー・ナノテクノロジー』電子版に掲載された。

人間の体には、外部から侵入した細菌やがん細胞を攻撃する「T細胞」と呼ばれる免疫細胞があり、がんとの戦いの第一線に立つ先兵のような役割を果たしている。この兵士たちを訓練する教官に当たるのが「樹枝状細胞(抗原提示細胞)」だ。研究陣は、直径10ナノメートルの粒子に大腸がんの抗原を付着させ、樹枝状細胞にこれを注入、T細胞を訓練させるよう仕向けた。ソン・スンヨン教授は「今後3-4年以内に、実際に大腸がんの患者に対し適用が可能になると期待している」と語った。

2011年9月14日 朝鮮日報

2011年9月13日火曜日

大腸がんが100%完治する良い病院

早期発見で100%近く完治する大腸がん 良い病院見分ける方法

 胃がん同様、大腸がんも早期であれば、内視鏡による治療で100%近く完治するので、やはり注目する項目は「内視鏡」の割合だ。「内視鏡」の割合が高い病院は、早期発見のために検診体制を整え、内視鏡の専門医が充実している病院といえるからだ。

 初回治療症例数の7割近くを内視鏡が占める島根県立中央病院の医療局次長・今岡友紀医師はこういう。

「島根県は自治体やJAも連携して検診体制がしっかりと確立しているので、早期で見つかる患者さんが非常に多いのです。当院の特徴としては、1回目の内視鏡治療でポリープを切除すること。たいていの病院は1回目に検査をし、2回目で切る。うちは1回で切除してしまうので、非常に多くの患者さんを診ることができる。患者さんにとっても、体の負担はもちろん、経済的な負担も軽くなります。2007年に内視鏡を性能の高いものに総入れ替えして効率が上がったことも2008年の件数の多さに表われたと思います」

 福島県の慈山会医学研究所付属坪井病院も、同様にこういう。

大腸がんの内視鏡の件数が多いのは、そもそも検査の数が多いから。早期がんは自覚症状がないので検査は重要です。当院には内視鏡室が6部屋あり、医師も内視鏡技術に優れています」(同院外科部長・湖山信篤医師)

2011年9月13日 週刊ポスト2011年9月16・23日号

コーヒーの美肌効果と抗がん作用

朝のコーヒータイムで皮膚がん予防?

「コーヒー」には、抗酸化作用による美肌効果があったり、ダイエットに効果があると言われたりする一方で、胃に悪いとか体に悪いとか言われたりしている。毒にも薬にもなる食物の代表格なのではないだろうか?
そんなコーヒーについて、ラトガース大学での新しい研究によると、朝の一杯のコーヒーが、太陽からの有害なダメージを予防したり、皮膚がんを予防するなど、肌の健康を守るのに役立つという見解が示された。

コーヒーに含まれるカフェインが、タンパク質リン酸化酵素ATRを抑制し、紫外線で損傷した細胞を死滅させる効果があり、ある種の皮膚がんに対する抵抗性があるという理論は、以前から存在していたが、今回の研究結果はこの理論を裏付けるものとなっている。
今回のマウスを使った実験では、カフェイン入りコーヒーを適度に飲んだり、直接皮膚にコーヒーを塗布すると、皮膚がんを引き起こす原因となる紫外線のダメージから肌を守るのに役立つということがわかったそうだ。

というもの、コーヒーには抗酸化物質が含まれており、皮膚がんリスク を軽減させるのに関係していると言われている。以前行われたマウスを使った研究では、カフェイン入りの水を飲んだマウスに、皮膚細胞のDNAを破壊する UVBを放射させたところ、傷ついた細胞の大部分を取り除くことができ、皮膚がんリスクを軽減する効果があるとされていた。

「コーヒーを飲むことは、非黒色腫皮膚癌のリスクの減少と関係性があることは知られているが、今話題のカフェインが日光によって引き起こされる皮膚癌を阻害できるのかどうかの研究を進める必要がある」と語るのは、スーザン・リーマン・カルマン癌研究所のディレクターであるアラン・コニー氏だ。

アメリカの国立がん研究所によると、日光によって引き起こされる皮膚がんがアメリカで最も一般的なとされ、毎年100万人以上発症しているそうだ。アメリカ人の食生活における最大の抗酸化物質供給源であるコーヒー飲料の摂取量が増えると、皮膚がん以外にも、前立腺がん子宮がんなどの癌のリスクを減少させると言われているが、現在のところ、その理由については詳しくは解明されてはいない。

コニー氏によると、「コーヒを飲んだり肌に直接塗布すると、タンパク質リン酸化酵素ATRが抑制されるそうだ。すると、直接肌にダメージを与える紫外線を吸収するので、紫外線を浴びても皮膚がんリスクが大幅に抑制され、がん予防の最大の武器になるかもしれない」との見解を示している。

2011年9月13日 daizu

都立駒込病院の がん・感染症医療センター

がん・エイズ診療中核に 都立駒込病院リニューアル

 老朽化と都立病院再編のため全面改修を進めている都立駒込病院(文京区本駒込三)が十七日、リニューアルオープンの記念式典を開く。「がん・感染症医療センター」と位置付けて施設を拡充、がんやエイズ診療の中核を担う。外来患者の受付は今月下旬に始まる。
 病床数は従来の八百一床のままだが、空いていた都医学総合研究所の建物を利用し、延べ床面積を約五万七千平方メートルから約八万平方メートルに拡大。民間資金などを活用するPFI方式で改修し、工事費や二〇二五年度までの維持管理費に計千八百六十二億円を投じる。
 全面改修により手術室を九室から十五室、内視鏡室を七室から十室に増やし、手術や検査待ちの日数を短縮する。入院せずに抗がん剤などの化学療法を受けられる「通院治療センター」も二十六床から五十床に増床。患者の苦痛を和らげる二十二床の緩和ケア病棟を新設する。
このほか、
▽入院病棟の個室を百二十床から約百五十床に増床
▽相部屋を一室六床から四床に改善
▽高精度の放射線治療装置を導入
-などで医療環境を充実させる。都病院経営本部は「東京でのがんと感染症の拠点病院として、高度で先進的な医療を提供したい」と話している。

2011年9月12日 東京新聞

難治性血液がんの原因遺伝子を発見

東大、血液がんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見

世界で初めて「骨髄異形成症候群」(血液がんの一種)の原因遺伝子を発見

 東京大学医学部附属病院キャンサーボードの小川 誠司特任准教授を中心とする国際共同研究チームは、世界で初めて、難治性の血液がんである骨髄異形成症候群(MDS)の原因遺伝子を発見しました。

 骨髄異形成症候群(MDS)は、白血病などと並ぶ血液がんのひとつです。我が国でも推定で数万人の患者がおり、年間5000人以上が新たに発症していますが、骨髄移植以外には、根本的な治療がないのが現状です。高齢者の場合は骨髄移植のできる例が一部に限られるため、身体への負担の少ない治療法開発が求められています。

 同研究チームは、今回、大量並列ゲノムシーケンス技術を用い、29例のMDS症例のゲノムを詳細に解読することによって「RNA スプライシング」に関 わる遺伝子群が45~85%という高い頻度で変異を生じていることをつきとめました。今後、異常な「RNA スプライシング」の因子を阻害する薬剤などの 新たな治療法の開発が期待されます。今回の発見は、「RNAスプライシング」の異常が、がんの発症に関わることを示す研究としても世界で初めてのものです。

 本研究結果は、大規模シーケンスによるがんゲノムの徹底的な解読による研究が、がんの病態解明の上で有効であることを証明する成果となりました。

2011年9月12日 プレスリリース

新しい子宮頸がん予防ワクチン

新たな頸がんワクチン発売

 製薬企業のMSD は8月下旬、子宮頸がんや性感染症の尖圭コンジローマ(性器イボ)を引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチン「ガーダシル」を発売した。

 国内では既に、2009年に発売されたグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」が子宮頸がん予防ワクチンとして使われており、新たな選択肢が加わった。
 HPVは100種類以上あるが、子宮頸がん発症原因の約65%、特に20~30代の若年層では80~90%を16型と18型が占めている。ガーダシルはサーバリックスと同様、これら2タイプの感染を防ぐのに加え、尖圭コンジローマの原因となる6型と11型の感染予防効果も持つ。

2011年9月13日 47news

服用すれば月額30万円の抗がん剤


「保険適用外のため薬代が高く治療に踏み出せない」―。秋野公造 参院議員(医学博士)は8日、甲状腺がんの症例4種の中でも特殊な「進行甲状腺髄様がん」を患う岡田泰一さん(58)と福岡市内で面会し、新薬の承認、保険 適用への要望を受けるとともに激励した。これには、高橋雅成県議も同席した。

16年前に甲状腺がん手術を受けた岡田さんは今年8月、第六胸椎両肺の呼吸器官と食道の間に腫瘍が見つかり、進行甲状腺髄様がんと判明。既にリンパ節をはじめ、肺の3カ所や腰骨、腸骨にも転移しており、薬による治療が望ましいと医師から告げられたという。

しかし、治療に有効とされる抗がん剤「ネキサバール」は、保険適用外の未承認薬。「服用すれば月額30万円の薬代で生活が破綻する。肺や肝臓がんなどには保険適用なのに……」と、岡田さんは窮状を吐露した。

こうした切実な訴えに真剣に耳を傾けた秋野氏は「保険適用に向けて、国が一日も早く承認できるよう訴えていきます」と約束し、岡田さんと固い握手を交わしていた。
2011年9月10日

口腔がんのチーム医療で定評


口腔がん早期治療で歯科開業医と連携

★日本大学歯学部付属歯科病院

話をするだけでなく、食べ物を噛んで飲み込む上でも重要な口。顔の表情にも影響を与える器官であり、この口の中にできるがんを「口腔がん」という。口という大切な器官だけに、早期発見であっても、治療は腫瘍部分を切除するというだけでは済まないケースもある。

  がんを取り除くためには、周辺の歯や歯茎、顎、頬なども取り除くことがあるからだ。以前のように食べ物を噛んで飲み込み、スムーズに話し、見た目を変わら なくするなど、「再建」技術も不可欠。そんな口腔がんの診断・治療、そして、再建まで、チーム医療で定評を持つのが日本大学歯学部付属歯科病院口腔外科 だ。歯科インプラント科や、顎顔面補綴(ほてつ)科、摂食機能療法科などとタッグを組み、口腔がんに挑んでいる。

 「人間は、歯や顎の骨 が少しずれただけでも、食べ物を噛めなくなる、あるいは、話しづらくなることがあります。繊細な器官ゆえに、私たちは、がんを取り除くだけでなく、インプ ラント、頬や顎の再建など、専門医の集団によるトータル的な治療を実践しています」とは、副院長を兼務する大木秀郎教授(58)。長年、口腔がんや顎変形 症などの手術をこなすエキスパートである。

 がんは進行した状態で見つかるほど、当然のことながら、治療は難しくなる。口腔がんも同じ だ。しかも、口腔がんは、顎の骨などに悪影響を与えやすい放射線治療は適用しにくい。化学療法も今のところ確かな決め手に欠く現状にある。治療の柱は手術 となり、早期であっても発生する場所によっては高度な技術が求められる。その治療を大木教授は、各分野の専門医とタッグを組んで行っているのだ。

  「最近では、かかりつけの歯科で早期の口腔がんが見つかる患者さんが増えました。開業医の先生が、口腔がんかどうか迷うケースでも、病院ではさまざまな検 査でがんを確定することが可能です。そのため、現在、開業医の先生方との『病診連携』のネットワークを強化しようとしています」(大木教授)

 開業医が迷ったときには、メールで相談できるシステムを構築中という。専門領域の歯科医師や医師が中心となり、メールの相談をクリニックから受けたときに、複数の専門の歯科医師や医師がアドバイスを行う仕組みだ。

 「がんかそうでないのかを見極めることで、患者さんだけでなく、開業医の先生方もスムーズに治療が行われるようになればと思っています」と大木教授。院内のチーム医療を外部にも拡大し、口腔がんの早期発見・早期治療に貢献するため、今も力を注いでいる。(安達純子)

<データ>2010年実績

☆手術総数354件
☆外来手術数115件
☆入院患者数411人
☆病床数24床
〔住所〕〒101-8310東京都千代田区神田駿河台1の8の13 
(電)03・3219・8080

 2011年9月12日 zakzak

竹の葉に含まれる抗がん成分

パンダのふんに抗がん作用? 四川大教員が報告

 四川大学の教員・安〓石さんは先ごろ、パンダのふんを肥料として栽培したお茶には抗がん作用があるという報告書を発表。四川省から正式に著作権が発行された。現在、「パンダ茶」は1キロ2万人民元(約27万円)で売買されている。

 安氏によると、パンダは栄養の吸収効率が悪く、食料である竹から吸収できる栄養部はわずか30%。
 従ってふんには、竹の葉に含まれる抗がん成分が豊富に含まれるため、ふんを肥料にすれば、抗がん作用のある茶葉を栽培することが可能だとしている。
 パンダのふんは1頭1日20キロ程度。繊維質が多く含まれるため、紙にすくことで、はがきなどとして商品化されていた。  安氏はパンダ茶が中国の「国茶」となると鼻息も荒いが、専門家には懐疑的な声もある。

※注:〓は王ヘンに「炎」

2011年9月12日 中国時報

2011年9月9日金曜日

乳がんで失った乳房が元通りの最新治療

9月13日放送の『みんなの家庭の医学』は、「がん治療にまつわる3つのスゴイ事実」を大公開!!この30年間日本人の死亡原因の第1位となっている「がん」。がんは早期に発見、治療できるかが生命のカギを握っている。

 まず現在、慶応大学で行われている「唾液を調べるだけでガンかどうかがわかる」という最新研究を紹介。次に女性が発症しやすいがんの第1位である「乳がん」に注目。自身が乳がんを患い、乳がん根絶の啓蒙にも努めるタレントの山田邦子が「乳がんで失った乳房が元通りになる」という最新乳がん治療の現場に密着する。はたしてその最新乳がん治療のスゴイ事実とは!?さらに3つ目のスゴイ事実として「1ミリ以下のガンも見つける!最新の乳がん検診」に注目。ハリセンボンの近藤春菜と箕輪はるか、タレントの新田恵利らが"初めての乳がん検診"を体験する。はたしてその検診の内容とは...?

■『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学 』
2011年9月13日(火) 20:00 ~ 20:54(テレビ朝日系)

2011年9月8日 テレビドガッチ

アミノインデックス技術の がん早期発見

味の素ら、がん患者と健常者では血中アミノ酸濃度バランスが異なると発表

味の素と神奈川県立がんセンターは9月8日、がん患者は健常者と比較して「血中アミノ酸濃度バランス」が有意に変化していることなどを共同で発表した。その変化は早期がん患者からも認められること、および血中アミノ酸濃度を変数とした「多変量解析」により、がんの早期発見への応用が可能であることなども明らかにしている。研究成果は、9月7日(米国時間)に米オンライン学術ジャーナル「PLoS ONE」に掲載された。

味の素では、血中アミノ酸濃度のバランスの変動を統計学的に解析・指標化し、健康状態や持病のリスクを明確にする「アミノインデックス技術」の研究開発を 行っている。血中アミノ酸濃度は、生体の恒常性維持機能により一定に制御されるが、種々の疾患においてはバランスが崩れ、健常者と比較して変化しているこ とが多くの論文でこれまで報告されている。ただし、これまでのがん患者における血中アミノ酸濃度の変化についての研究は、小規模に留まっていた。

しかし今回の研究では、複数の病院や人間ドックから早期がん患者を含めて大規模に臨床症例の収集を実施。血中アミノ酸濃度バランスを測定することにより、がん患者と健常者とを判別する可能性を検証するための症例対照研究が行われた。

今回の研究では、5種類のがん(肺がん胃がん大腸がん乳がん前立腺がん)について調査。がん種ごとに130~200名、合計928名のがん患者と、がん種ごとに対象として650~1000名、合計4618名の健常者における血中アミノ酸濃度バランスの比較が行われたのである。

その結果、健常者に比べてがん患者は血中アミノ酸濃度バランスが有意に変化していることが判明。また、がん患者における血中アミノ酸濃度バランスの変化には、がん種間で共通するアミノ酸群の変化と、がん種により特徴的に現れるアミノ酸群の変化があることも確認された。

5種類のがん患者の、血中アミノ酸濃度バランスの変化。健常者のアミノ酸濃度バランスが円形の黒実線で表されており、がん患者のものはその相対値として示 されている。黒実線の内側の灰色の領域にプロットされるアミノ酸は、健常者よりも低下していることを示し、外側の白い領域にある場合は増加しているという 具合。どのがんも健常者に対してかなり増減がある上に、それぞれのがんで特徴的なところが見られる

また、血中アミノ酸濃度バランスの変化は、早期がん患者でも認められることも判明。さらに、多変量解析の一種である判別分析を行うことで得られた判別関数 は、がん患者と健常者を「ROC(受信者動作特性)曲線下面積」で0.75以上の制度で判別できることを示す結果も得られている。

ROC曲線下面積とはある検査によって正しく診断される確率を表す指標で、0.5~1の値を取り、一般に0.7以上で有効な検査、0.8以上になれば優れ た検査とみなされるというもの。今回は0.75以上だったので、有効な検査であり、優れた検査に近いといえるわけだ。なお、この判別関数を用いると、早期 がん患者でも判別できることが示されている。

今回の研究で得られた知見を応用することで、アミノインデックス技術によって、血液で簡単でいて高い精度で複数のがんの早期発見ができる可能性が出てきたとしている。同社では、今後アミノインデックス技術に関して疾患の対象を拡充していくとともに、血中アミノ酸濃度バランスが変動する機構の解明、ならびに「コホート研究」など、さらなる研究を継続していくとしている。

なお、コホート研究とは疫学研究法の一種で、ある集団を将来にわたって追跡調査を行い、後から発生する疾病を確認するという研究手法のこと。例として、血 中アミノ酸濃度バランスの解析結果から疾患リスクが高いと判別された被験者群と、疾患リスクが低いと判別された被験者群というように分類し、将来の疾患発 生率の研究を行い、血中アミノ酸濃度バランスとの間にある因果関係を調べるような研究を指す。

2011年9月9日 マイコミジャーナル

抗がん剤で劇症肝炎を発症

 過去にB型肝炎ウイルスに感染した人ががんやリウマチなどの治療で免疫力が落ちると、ウイルスが再び増える「再活性化」が起きることが厚生労働省研究班(研究代表者=持田智・埼玉医大教授)の全国調査でわかった。再活性化に気づかず放置すれば、重い肝炎を発症する恐れがある。

 研究班は2009年度から抗がん剤やステロイド、リウマチ治療に使われる生物学的製剤による治療で免疫力が落ちた患者で、過去にB型肝炎ウイルスに感染した235人について調査。うち11人(4.7%)で再活性化が起きていた。

 再活性化が起きると劇症肝炎を発症しやすい。04~09年に全国で18人が死亡。17人ががん、1人がリウマチの患者だった。

 今回の調査で再活性化が起きた11人のうち、5人はウイルス量が基準を超えていた。抗ウイルス薬による治療を受け、いずれも肝炎を発症しなかった。

2011年9月9日 朝日新聞

2011年9月8日木曜日

がん細胞を生み出し続ける細胞

山形大学医学部の北中千史教授と国立がん研究センターの嘉山孝正理事長らは、悪性脳腫瘍の再発を防ぐ遺伝子を発見した。がん細胞を生み出し続ける「がん幹細胞」の働きを抑える。治療薬の開発につながる可能性があるという。成果は米医学専門誌「ステムセルズ」(電子版)に発表された。

 研究チームは悪性脳腫瘍の一つ、グリオブラストーマの患者を調べた。がん細胞とがん幹細胞の遺伝子を分析し、がん細胞で働き、がん幹細胞では眠っている「Fox03a」という遺伝子を見つけた。ネズミを使った実験で、この遺伝子をがん幹細胞で働かせると、がん細胞がほとんどできなくなった。

 がん細胞にはもととなる細胞があり、がん幹細胞と呼ばれている。がん幹細胞は数は少ないが、手術などで取り残すとがんが再発する原因と考えられている。がん幹細胞の機能を絶てば、再発も防げる。

 研究チームは「Fox03a」遺伝子がよく働くようにする薬剤をすでに見つけており、治療薬として開発していく。

2011年9月8日 日本経済新聞

胃がんに強い病院

胃がんに強い病院 内視鏡治療数の割合に着目すると分かる

胃がんは早期であれば、100%近く完治が可能である。だからこそ、病院選びが重要になる。では、統計データのどこに注意すべきか。国立がん研究センターの西本室長は、「着目すべきは『内視鏡』の割合」だという。

 内視鏡治療とは、電気メス付きの内視鏡で胃の内壁のがんを 切除するもの。腹部を切らないので、体への負担は非常に小さい。早期がんだからできる治療法なのだが、逆にいえば内視鏡治療が多い病院は、検診体制に力を 入れ、早期発見に努めているともいえる。また、専門技術を要する治療法なので、専門医が揃っていなければ数をこなせない。

 がん治療計256例中133例と、内視鏡治療が半数以上を占める山形県・酒田市病院機構日本海総合病院には、他の病院にはない『治療内視鏡科』がある。

「院外的には、「内視鏡内科」と表記していますが、院内では内視鏡治療の専属の科として独立しています。昨年は胃がんと大腸がん合わせて300件以上施術 しました。医療器具メーカーや20名もの医師と一緒に『SBナイフ』というハサミ型レーザーナイフを開発し、効率的に治療できるようになったことが大きい ですね」(同院内視鏡内科・本間清明医師)

 優秀な専門医を揃えていることを誇るのは埼玉医科大学国際医療センターだ。

「治療に携わっている医師は7名で、内訳は内視鏡学会の指導医が3名、専門医が4名。全員が内視鏡のトレーニングを受けた医師で、ビギナーはいません」(同院消化器内科・喜多宏人教授)

 日本一多く、胃の内視鏡検査をやっているというのは長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院だ。

「内視鏡医は14名で、年2万6000件の内視鏡(検査と治療)をやっています。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は10数年前に日本で開発された技術 で、がんを切除する『フックナイフ』は私が開発しました。技術を学ぶため全国から医師が集まってきています」(同院胃腸科部長・小山恒男医師)

 大阪府立病院機構大阪府立成人病センターの消化管内科副部長・上堂文也医師も、「正常粘膜と病変を異なる色で表示し、病変を発見しやすくさせる AFI(蛍光内視鏡)という機器をオリンパスさんと共同開発するなど、先進機器の開発にも積極的に取り組んでいます」と胸を張る。

 このように、早期がんの場合は、内視鏡治療が効果的なケースが多いが、一方、進行がんになると手術や抗がん剤などの化学療法が必要となる。

2011年9月8日 週刊ポスト

2011年9月6日火曜日

世界トップレベルのすい臓がん手術

肝・胆・膵がんの外科治療で世界トップレベル

★「千葉大学医学部附属病院」肝胆膵外科

医学が進歩したとはいえ、いまだに手術が困難ながんはある。その代表グループに入るのが、肝臓がん胆道がん(胆管、胆嚢、乳頭部がん)、膵臓がん。臓器の中や周りに太い血管などがあり、高度な治療技術が求められる。しかも、画像診断では撮影しにくい臓器のため、特に胆道がんや膵臓がんは、進行した状態で見つかることが多い。

 大きくなったがんを手術でいかに取るか。その手技には、安全でかつ 有効にするための創意工夫が常に求められる。そんな肝・胆・膵のがんに対して、さまざまな独自の術式を考案し実績を上げているのが、千葉大学医学部附属病 院肝胆膵外科だ。なかでも胆道がんの手術では世界トップレベルの実力を誇る。

 「肝胆膵の分野は、進行がんで見つかることが多く、外科的な術式に 加えて術前術後の手技にも高度な技術が不可欠です。そのため、世界的にもまだ外科的な治療が行われていない患者さんが多い。しかし、確実に腫瘍を摘出して 臓器の機能を損なわなければ、外科的な治療の役割は大きい。それに貢献するために、私たちは、常に技術レベルの向上を考えています」

 こう話す同科の宮崎勝教授(60)は、病院長を兼務しながらも、年間約200件の手術に携わるエキスパートだ。

 宮崎教授が外科医を目指した若い頃には、肝臓がんや胆道がん、膵臓がんは、 治療が非常に難しく、手術を受けられない患者は今よりも多かったという。手術をしなければ予後は悪い。しかし、手術を受けてもその治療によって患者は命を落とすこともあった。その状況を変えるために、宮崎教授は外科的治療の向上にあらゆる努力を惜しまなかった。その結果、現在、世界トップレベルの技術に結 びついている。

 「早期発見のための診断方法が確立されれば、患者さんにとっては大きなメリットがあります。しかし、今はまだありません。現状で外科的な治療によってどこまで貢献できるのか。それに取り組んでいると、自然に新しい手技が生まれてきます」(宮崎教授)

 難易度の高い手術は、患者の命に関わるリスクも高い。本来であれば、教科書に載っている標準的な治療でお茶を濁した方が、医師にとっては楽な話だ。しか し、宮崎教授は、そのリスクを抱えながらも、患者を助けるために努力を惜しまない。平日のみならず、毎週末にも病棟を訪れて、患者の状態を把握するのも習 慣としている。

 そんな姿勢は、若い医師へも浸透していた。

 「患者さんに、医師の取り組む姿勢を評価されることが、若い人たちのやる気につながっています。一般の方々にも、若い医師へのエールをもっと送っていた だきたい。私たちは日々進歩し、1年後には、さらに技術レベルの向上を実感できるでしょう。そのために、これからも取り組んでいきたいと思っています」と 宮崎教授。

 一歩でも前へ。技術レベル向上の取り組みに終わりはない。(安達純子)

<データ>肝胆膵外科2010年実績
☆新規患者総数約320人
☆肝がん手術数79件
☆胆道がん手術数71件
☆膵がん手術数56件
☆肝胆膵外科病床数約50床
〔住所〕〒260-8677千葉市中央区亥鼻1の8の1 
(電)043・222・7171

2011年9月5日 zakzak

がんと女性のビタミン剤

真逆のエビデンス情報

「ビタミンサプリの継続摂取、女性で循環器系疾患リスク減」と報じた国立ガン研究センターの論文発表は、日経夕刊紙(8・ 25)で「ビタミン剤長期摂取の女性、癌リスク上昇」と報じた。ちなみに時事通信社は「ビタミン摂取、癌リスク低減=女性のみ、生活習慣も重要」と報じ た。詳細は健康産業新聞「話題追跡」に掲載されているが、要点を紹介する。
 
 コホート研究は1990年から94年に全国9地域の40~69歳の男女、循環器系疾患を発症しなかった6万人を06年まで追跡調査するという大掛かりな もの。追跡期間中4501人が何らかの癌、1858人に循環器系疾患の発症が確認されたというもの。調査対象は5年間に亘り①サプリを摂らなかった、②開 始時は摂っていたが5年後は摂らなかった、③開始時は摂らず、5年後は摂った、④ずっと摂っていた、の4グループで行われた。
 その結果②で17%、③で24%、全がんリスクが上昇したとしている。一方、循環器疾患では④でリスクが40%減少し、特に脳梗塞で有意に発症リ スクが減少したと。また、公表された図によれば④の女性では全がんで8%循環器系で40%のリスク低減があり、時事通信はこれをもとに、「ビタミン剤の摂 取を続けた女性ではガンや循環器系疾患の発症リスクが低減する」と報じた。一方日経では、①に比べ、②では発症リスクが17%高かったというデーターに基 づき「ビタミン剤長期摂取の女性、がんリスク上昇」と報じた。ただ、概要版を見ると②のグループは、他のグループに比べ肥満者や喫煙者、高血圧や糖尿病治 療の割合が高く、身体且つ同僚が少ないなど、不健康な特徴を持つと指摘している。
 調査から見えてくるのは、サプリメントの摂取が循環器系疾患には効果的であり、食生活など健康に注意することで、とりわけいい結果をもた らすと読めるのではないか。ちなみに④は肥満者が少なく健診受診率が高く、果物や食事からの葉酸や・ビタミン摂取が多いなどの特徴を持つとしている。
 医療はセフティーネット、健康はモチベーションであるとの指摘どおり、サプリメントの利用者が健康への関心を高めることで、更に健康になるという構図が見えてこないか。


2011年9月5日 健康産業新聞

2011年9月4日日曜日

スキルス胃がんのマウスモデル

東京医科歯科大学は8月26日、オランダ国立がん研究所との共同研究で、世界で初となる「スキルス胃がんのマウスモデル」を作成したことを発表した。

研究を手がけたのは、同大学大学院医歯学総合研究科・分子腫瘍医学分野の湯浅保仁教授の研究グループら。同研究は、文部科学省科学研究費補助金、日本学術 振興会日中韓フォーサイト事業ならびに高松宮妃癌研究基金の支援のもとで行われ、その成果は国際科学雑誌「Gut」に8月26日付けでオンライン版に発表 された。

胃がんは、世界でも日本でもがんによる死亡原因の2位となっている。特にスキルス胃がんは予後が悪く、早急な対策が必要とされている具合だ。ただし、発症機構は明らかになっておらず、がん抑制遺伝子「E-カドヘリン」と「p53」がカギを握るとされている。

研究グループでは、Atp4b-Creマウス、Cdh1-loxPマウス(Cdh1遺伝子はE-カドヘリンをコード)、Trp53-loxPマウス (Trp53遺伝子はp53をコード)の3種類の遺伝子改変マウスをかけ合わせ、世界初となるE-カドヘリンとp53が胃の細胞壁においてノックアウトさ れる、「DCKO(double conditional knockout)マウス」を作成して実験を行った。

結果、1年以内に100%の頻度でヒトのものとよく似たスキルス胃がんを発症することが確認された。スキルス胃がんの発症にはE-カドヘリンと p53の両方が確実に関与しているといえる結果である。また、DCKOマウスでは浸潤性が強い胃がんが生じるだけでなく、リンパ節転移も高頻度に認められ た。

研究グループは、これらのマウスはスキルス胃がんの発症機構の解明に有用なことに加え、スキルス胃がんに対する新規治療薬や予防法の開発にも使えるとしている。

2011年8月30日 マイコミ

再発前立腺がん へ世界初臨床試験

前立腺がんに「間欠的ホルモン療法」 東京厚生年金病院

高齢になればリスクが高まる前立腺がんは、「PSA」という腫瘍マーカーの血液検査によって、早期の段階で見つかることが増えた。また、その治療も、手 術、放射線療法、化学療法、さらにはホルモン療法もあり選択肢が多い。病態や個人の意向で治療を選びやすいのだが、ホルモン療法では、長く治療を続けるこ とで薬が効きにくくなる欠点があった。

 それを「再燃」という。これを克服するために、現在、世界的に注目されているのが「間欠的ホルモン療法」。ホルモン療法を一定期間実施した後、PSAの 値が正常に戻ったところで投与を止める。そして、数カ月後に再びPSAが上昇したならば、またホルモン療法を再開するという治療だ。休止期間があるゆえ に、再燃は起こりにくく、副作用も少ないだけでなく、コストも安い。

 そんな「間欠的ホルモン療法」が世界初の臨床試験が行われたのは1990年代初頭。このプロジェクトに参加し、国内の第一人者であるだけでなく、現在も、世界最先端の研究を行っているのが、東京厚生年金病院泌尿器科の赤倉功一郎部長(51)だ。

 「手術や放射線療法の技術レベルも進歩していますが、治療後の勃起機能の低下や尿漏れなどの副作用があります。また、手術そのものを希望しない方もいます。そういった場合の選択肢のひとつとして、間欠的ホルモン療法は役立つと思っています」(赤倉部長)

 間欠的ホルモン療法も、全ての前立腺がんに有効というわけではない。病態によっては、別の治療を選択した方がいいこともある。この治療が有効か、そうで ないのか。その見極めと治療成績のデータ化により、どんな医師でも治療に応用可能にするため、現在、赤倉部長は東京大学生産技術研究所などとのコラボによ る最先端の研究チームに参加している。

 「データがソフト化されるのは、世界初になります。間欠的ホルモン療法が、一般的な治療として普及するための足掛かりになるでしょう」

 こう話す赤倉部長は、もうひとつ、「PSA監視療法」にも力を入れている。前立腺がんは、病態によっては進行が遅い。手術などの治療をすることで、その 副作用などで逆に患者のQOL(生活の質)を損ないかねない。どのタイミングで治療を行うか、行わなくても済むか。その見極めのために「PSA」検査を活 用し、前立腺がんの進行状態を把握しながら検査や適切な治療を実施する「PSA監視療法」の研究も、赤倉部長は進めている。

 「患者さんの人生を最善な状態にするには、今以上に個別化した診断と治療が必要だと思っています」と赤倉部長。世界トップレベルの診断と治療の発展のために、今も力を注いでいる。 (安達純子)

<データ>2010年実績

☆泌尿器科手術総数約450件
☆前立腺がんの間欠的ホルモン療法約40人(現在進行中)
☆PSA監視療法約40人
☆病院病床数520床
〔住所〕〒162-8543東京都新宿区津久戸町5の1 
(電)03・3269・8111 2011年9月2日 zakzak

2011年9月3日土曜日

がん細胞検出できる蛍光分子

理研など、がん細胞を検出できる蛍光分子開発

 理化学研究所とスウェーデン・カロリンスカ医科大学の研究チームは、がん細胞を検出できる蛍光分子を開発した。生体内で異物の解毒機構を担い、がんの目印となる「グルタチオン転移酵素(GST)」が起こす化学反応を利用し、がん細胞のみを光らせる。

 今までGSTを検出するための蛍光分子がなく、医療現場で利用できる実用的な手法が求められていた。GSTの量が多いがん細胞のみを攻撃できる抗がん剤の開発が期待できる。成果は米化学会誌(JACS)電子版に掲載された。

 結合した蛍光化合物の働きを抑える「アリールスルホニル保護基」という物質に着目。同保護基に、ローダミンなどの蛍光化合物を結合させた複合体を作っ た。作製した複合体は蛍光を出さない。だが細胞内に豊富に存在する物質「グルタチオン」とGSTを加えると、化学反応が起こり複合体から同保護基が外れ、 蛍光を出す。

2011年08月30日 日刊工業新聞

2011年8月25日木曜日

ビタミン剤でがんリスクが上がる!?

ビタミン剤、過信は禁物 女性の循環器疾患は低減

ビタミン剤を飲み続けた女性が心筋梗塞などの循環器疾患になるリスクは、全く飲まない人の6割に下がるが、生活習慣に気をつけることが大前提―。こんな研究結果を、国立がん研究センター予防研究部の笹月静室長らが25日、公表した。

1990年代前半に40~69歳だった男女に5年間隔で2回、ビタミン剤の摂取状況を調査。回答した約6万人を2006年まで追跡し、ビタミン剤摂取と、循環器疾患やがんとの関係を調べた。  

2011年8月25日 共同通信



ビタミン剤1年以上摂取の女性、がんリスク上昇 がんセンター発表

ビタミンサプリメントを過去に摂取した女性はがんになるリスクが高いとの調査結果を国立がん研究センターがまとめ、25日発表した。週に1日以上、1年間 以上摂取した経験のある人は、まったく摂取したことがない人に比べてリスクが17%高かった。ただサプリメントの作用と発がんとの因果関係は明らかではな いという。

過去にサプリメントを摂取した経験を持つ女性は肥満や高血圧、糖尿病治療の割合も多かった。同センターの笹月静予防研究部室長はサプリメントが原因というよりも、「過去に摂取の経験がある人は不健康な傾向がある場合が多く、その影響も出たのではないか」とみている。

調査は1990~2006年に40~69歳の男女約6万3千人を対象にアンケート方式で実施。期間中がんになった人は4501人。90年時点でサプリメントを摂取し、その後5年以内にやめた女性は摂取経験のない人に比べがんになる確率が17%高かった。

男性ではこうした傾向は見られなかった。「(調査時点で)飲酒や喫煙をしている人の割合が高く、(それらに隠れて)サプリメントの影響が見えにくかった可能性が高い」としている。

2011年8月25日 日本経済新聞


ビタミン剤摂取、がんリスク減=女性のみ、生活習慣も重要-がんセンター

国立がん研究センター(東京都中央区)などの研究班は25日、ビタミン剤の摂取を続けた女性ではがんや循環器疾患の発症リスクが低下するとの調査結果を発表した。男性について関連は認められず、同センターは「男性の場合は、喫煙や飲酒の影響があるのでは」としている。  

研究班は全国9地域を対象に、1990年から94年にかけ、40~69歳の調査を開始。このうち、開始5年後にがんや脳卒中などの循環器疾患にならな かった男女6万2629人を追跡調査した。その結果、追跡調査を始めてから7~11年間に4501人は何らかのがんと診断され、1858人が循環器疾患を 発症したことが分かった。  研究班は、対象者をビタミン剤の摂取状況に合わせ
(1)調査開始時・5年後とも非摂取
(2)開始時摂取・5年後非摂取
(3)開始時非摂取・5年後摂取
(4)開始時・5年後とも摂取
-の4群に分類。

摂取の定義は、調査開始時は週1日以上、5年後では週1日以上を1年以上継続とした。  

女性について(1)のがんリスク値を1.0とした場合、(2)が1.17、(3)が1.24、(4)は0.92。同様に循環器疾患は(2)1.08(3)1.32(4)0.60だった。男性は関連性が一切なかった。  女性の(2)は肥満や喫煙、高血圧の割合が高く、(3)はデータを精査した結果、ビタミン摂取を始めた時に潜在的疾患が既にあり、がん発症と関連はないと結論付けた。(4)の摂取継続者は検診受診率が高く、食事によるビタミン摂取量が多いなどの特徴があったという。

同センターの笹月静予防研究部室長は「男性で差が出ないのは飲酒や喫煙により、ビタミン剤の効果が打ち消されたためと思われる。ビタミン剤以外にも、運動や食事などによる生活習慣の改善が重要だ」としている。

2011年8月25日 時事通信

乳がん、前立腺がんへ 新抗がん剤候補

岡山理科大など、副作用少ない抗がん剤の候補物質を開発

岡山理科大学の濱田博喜教授、岡山大学の妹尾昌治教授、塩水港精糖の研究チームは、薬物送達システム(DDS)を利用した新しい抗がん剤の候補物質を開発した。乳がん前立腺がんなどへの抗がん作用を持つ化合物「パクリタキセル」を改変。ブドウ糖と結合させることで水に溶けやすくし、ナノサイズのカプセルに閉じ込め、副作用が少なくがん細胞のみを標的とした抗がん剤の候補物質を作れた。

今後、動物実験での安全評価などを行い、「5年後には臨床試験に入りたい」(濱田岡山理科大教授)としている。研究成果は9月11日からフランスで開催される日仏合同シンポジウム「メディシナル・アンド・ファイン・ケミストリー」で発表する。

パクリタキセルを水に溶かし、カプセルに封じ込めた例は初めてという。パクリタキセルは既に抗がん剤に使われているが、水に溶けない性質を持ち、白血球が減るなどの副作用があった。

2011年8月25日 日刊工業新聞

放射線腫瘍科での最新がん治療

新たに放射線腫瘍科を開設

★東京女子医科大学病院のがん放射線療法

がん治療の3本柱、手術、放射線療法、化学療法は、いずれも近年目 覚ましく進歩している。中でも放射線療法は治療機器の進歩に伴い、腫瘍の部分だけを狙い撃ちにする「定位放射線照射」、照射する個所と強さを自由に変える ことができる「強度変調放射線治療(IMRT)」、小さな針やカプセルを腫瘍部分に刺す、あるいは置いて照射する「小線源治療」など、さまざまな治療法が 登場している。

ただし、それらを行うには高度な技術が不可欠で、臓器や病態などによって使い分けをしなければならない。そんな放射線治療で全国トップクラスの実力を誇るのが、東京女子医科大学病院放射線腫瘍科だ。脳腫瘍や前立腺がん乳がんなどの治療で定評を持つ。

「放射線治療のレベルが向上したことで、病態によっては、手術と放射線の組み合わせではなく、最初から放射線治療のみや化学療法を組み合わせて行う症例 も多い。そういう状況では、以前にも増して、他科との信頼関係の構築による連携が非常に大事になってきます。私たちは、その連携を実現し、患者さんにとっ て最適な治療を提供しているのです」とは、同科の三橋紀夫主任教授(62)。

放射線治療一筋に、最先端の治療法のみならず、腫瘍の性質などの造詣が深い。2001年より現職だが、一昨年5月には、より専門性の高い治療に集中するため、従来の放射線科を画像診断部門と分けて新たに放射線腫瘍科を開設した。

「放射線治療は、ただ患部に放射線を照射すればいいというものではありません。腫瘍の性質を熟知しなければ、きちんとした治療はできないのです。それができる医師を育成するためにも、放射線腫瘍科を画像診断と分ける必要があったのです」(三橋教授)

加えて、放射線治療の進歩で患者にとっても選択肢が増えた。たとえば、前立腺がんのように、IMRTで外部照射、前立腺に針を刺して照射する「高線量率組織内照射」、あるいは、患部に放射性ヨウ素を永久挿入する治療法もあり、どの治療法がいいのか迷う患者もいる。医師は、治療法やがんの性質を理解していないと、患者に最適な治療法は提供できない。以前にも増して放射線腫瘍科の医師の手腕が求められているのだ。

しかし、全国の放射線治療専門医は約900人。国民の2人に1人はがんになるといわれる時代に、専門の医師が少なすぎる。

「すぐに放射線治療医を増やすことは難しい。少数精鋭で私たちは取り組んでいますが、放射線腫瘍科が各大学で広がることを期待しています。また、地域によってセンターを作り、専門性の高い治療を行えるようにしたい」と三橋教授。その夢に向けてまい進中だ。(安達純子)

<データ>2010年実績
☆新規患者数823人(脳/脊髄123人、前立腺192人、乳腺160人、肺59人、頭頸部51人、食道44人など)
☆IMRT治療者数94人
☆前立腺ヨード治療人数48人
☆病院病床数1423床
〔住所〕〒162-8666東京都新宿区河田町8の1
(電)03・3353・8111

2011年8月22日 zakzak

肛門がん予防ワクチン

子宮頸がんの予防ワクチン、肛門がんリスクも低減

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンが、女性の肛門がん発症リスクも減らすとの研究結果が、23日の英医学誌「ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)」に掲載された。

研究はコスタリカの18~25歳の健康な女性4210人を対象に、HPVワクチン「サーバリックス(Cervarix)」とA型肝炎ワクチンのいずれかを無作為に選んで投与し、4年後に女性たちの子宮頸部と肛門へのHPV16型と18型の感染の有無を調べた。

結果、サーバリックスの投与を受けていた女性の子宮頸部感染リスクは、ワクチンの投与を受けていた女性よりも76%低く、また肛門感染リスクは62%低かった。

1年間の肛門がんの発症件数は10万人に2例程度と少ないが、女性は男性と比べて2倍かかりやすい。この原因は明らかになっていないが、肛門を使った性交が原因の可能性もある。

人口全体では、男性と性交をする男性が肛門がんにかかりやすく、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していない同性愛者では10万人のうちで年40例、HIV感染者では10万人に80例ほどとなっている。

これまでの研究で、肛門がんの大半の原因がHPVであることや、HPVに関連した肛門がんでは、症例の80%近くがHPV16型または18型により引き起こされていることが分かっている。

米ミズーリ大(University of Missouri)の専門家、ダイアン・ハーパー(Diane Harper)氏とスティーブン・フィールターレル(Stephen Vierthaler)氏は、ランセット・オンコロジーに掲載された解説で、肛門がんの対策としてのHPVワクチン接種の費用便益ははっきりしないと述べ た。

2011年08月24日 AFP

糖尿病の発症リスクが低下する食事

魚をたくさん食べる男性ほど糖尿病にかかりにくいことが判明

国立がん研究センターなどから成るチームが2011年8月17日に発表したところによると、魚介類を多く食べる男性ほど糖尿病にかかりにくくなる傾向があることがわかった。ちなみに女性では魚の摂取量と発症リスクの間に相関関係は見られないという結果が出ている。

調査は95年と98年に、全国の男女約5万人に対し行われた。調査の結果、1日当たりの魚の摂取量が最も多い171.7gの群の男性では、最も少ない摂取量36.6gの群の男性と比べて3割ほど糖尿病の発症リスクが少ないという。

魚の種類によっても発症リスクの増減には違いが見られ、たとえば脂の多いサケ、アジ、イワシ、サンマなどの魚や小・中型の魚であるアジ、イワシ、サンマ、 サバなどを多く食べる習慣のある男性では、糖尿病の発症リスクが目立って低下する。これに対してマグロやカツオなどといった大型で脂の少ない魚を食べて も、発症リスクは減少しないことが分かった。

DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、ビタミンDなどの魚の脂に多く含まれている成分が糖尿病を予防するインスリンの働きを活発化させているのではないかという。

2011年8月24日 美容健康ニュース

皮膚がんが治る新薬登場

7万5千ポンドで皮膚がんが治る? 英国でも新薬登場

皮膚がん患者の新しい治療薬が英国でも承認されることになった。

「メトロ」紙が伝えたところによると、この新薬の名前は「Yervoy(ipilimumabイピリムマブ)」で、使用1年後の皮膚がん患者の生存率はおよそ50%という。

欧州での使用が承認されたものの、英国の医療サービス「NHS」での使用認可はまだ下りていない。

1970年代以来、進行性の悪性黒色腫の治療には主にセラピー(物理療法や心理療法)が用いられるのが一般的で、専用の治療薬が使われるのは今回が初め て。治療にかかる費用は、患者の体重にもよるが、治療1回につきおよそ1万8,000ポンド、治療終了時までに平均で約7万5,000ポンド程度になると いう。

2011年8月23日 Japan Journals

2011年8月23日火曜日

ミセル化ナノ粒子技術でがん治療

ナノキャリア、核酸医薬を京大と研究 がん治療に期待

東証マザーズ上場のナノキャリアは京都大学と核酸医薬について共同研究契約を結んだ。京大が作製する人工核酸を同社が開発したナノサイズのカプセル「ミ セル化ナノ粒子」にとじ込めて核酸医薬候補を開発する。研究期間は来年6月まで。共同研究で得られた成果は両者で特許を出願する方針という。

京大側の共同研究者は「次世代研究者育成センター」の斉藤博英准教授。同准教授は人工的に合成したRNA(リボ核酸)を使って細胞の生死を制御する技術を開発している。この人工RNAをがん細胞に送り込めば、がんの 治療効果などを期待できるという。ただRNAは血中で分解されやすく、患部へ効率的に届けられるかどうかが課題。ナノキャリアはミセル化ナノ粒子の技術を 使えば、人工RNAが分解せずに患部に到達できるとみる。同社は作製した医薬候補の血中持続性や薬理作用の確認にも取り組む考えだ。

2011年8月22日 日経産業新聞

2011年8月16日火曜日

超音波で薬剤放出させる新治療法

がん細胞狙い薬剤投与 金大グループ

がん細胞だけを狙って薬剤を投与する独自の手法を、金大の研究グループが15日までに開発した。1マイクロメートル(1千分の1ミリ)以下の容器に抗がん剤を仕込んでがん細胞と結合させ、超音波を当てて薬剤を放出させる仕組み。正常な細胞には影響を与えないため、実用化すれば、副作用の少ない抗がん剤治療につながる可能性がある。

体内に入った薬剤を効率的に患部に到達させる「ドラッグデリバリーシステム」の一つで、環日本海域環境研究センター・理工学域自然システム学類バイオ工学コースの清水宣明教授と仁宮一章助教による研究。

抗がん剤は、リン脂質など高分子の人工膜で作った微小な容器内に閉じ込められる。同グループは、この容器が超音波を当てると表面が変形して割れる性質を利用した。従来、抗がん剤を収める容器には熱に反応して壊れるものなどがあった。ただし、熱が届きにくい場所にがん細胞がある場合、相当な加熱が必要で人体に使うには課題が多かった。超音波なら、容器を体内の奥深くまで送り込んでも十分に届き、体への負担も小さいという。

実験では、抗がん剤を封入した容器の表面に、肝がん細胞だけに結合するタンパク質を組み込んだ。これを肝がん細胞を含む培地に入れて超音波を当てると、肝がん細胞に抗がん剤が効いていた。大腸がん細胞を用いた実験では反応せず、肝がん細胞だけを狙い打ちすることが確認された。

今後、マウスなどの動物実験で、生体内で変わらず効果があるかを検証する。容器表面に組み込む生体分子を変えれば、他のがんに応用できると考えられ、肝がん以外のがんに作用する分子を探す。

清水教授は「臨床で実用化されるまでには安全性など多くの検証が必要だが、副作用の少ない治療の実現に向け、研究を積み重ねたい」と話した。

2011年8月16日 富山新聞

2011年8月15日月曜日

ダブルバルーン内視鏡とは

世界初、ダブルバルーン内視鏡の実用化に成功

「自治医科大学附属病院」小腸の内視鏡検査

先端についたカメラや医療器具で検査はもとより治療も行える内視鏡。しかし、かつて小腸についてはお手上げだった。口から内視鏡を入れたときには、食道、胃、十二指腸まではスムーズなのだが、その先の複雑に曲がりくねった小腸では進まない。

肛門から内視鏡を入れて大腸を通過しても同じ。無理に押し込もうとすれば小腸を傷つけかねなかった。「内視鏡の死角」といわれた小腸は、がんの発生は少ないものの、出血や潰瘍などで苦しむ患者はいる。内視鏡の治療もできない上に、画像検査でも位置がわからない。結局、手術でしか確かめようがなかった。

そんな状況を一変させたのが、自治医科大学附属病院光学医療センター(内視鏡部)長の山本博徳教授(51)が考案したダブルバルーン内視鏡だ。1999年に世界初の臨床試験を行い、現在、世界約60カ国で小腸の内視鏡検査や治療で使用されているという。まさに世界ナンバーワン。

「小腸は5~6メートルの長さがあり、人間にとって極めて重要な臓器です。小腸に潰瘍を作る病気で腸が狭くなった場合は、以前は手術で小腸を部分切除していましたが、内視鏡的な治療であれば小腸を切らずに済みます。出血も検査をしながら止めることが可能です。それを実現するために、ダブルバルーン内視鏡を考えました」

こう話す山本教授は、95年に出身の自治医科大学に戻り、たまたま小腸の検査がうまくいかない患者に出会った。別の医師が内視鏡を押し込もうとしても、先に行かない。傍から見ながら「なんとかしたい」との思いを強めた。

そんなある日、ひらめいたのが、2つの丸いバルーン(風船)を内視鏡とオーバーチューブにつけた方法。小腸の曲がった部分をバルーンで固定することで、真ん中に通した内視鏡の方向が定まり、スムーズに先に進むことができた。

「工夫することが大好きなのです。でも、最初はメーカーに取り合ってもらえませんでした」(山本教授)

胃や大腸に比べて患者数の少ない小腸について、メーカーは市場規模が小さいと解釈して乗り気でなかった。山本教授は孤軍奮闘。試作品と実験の繰り返しで有用性を確認し、フジノンとの共同開発が実現した。そして、ダブルバルーン内視鏡の実用化に世界で初めて成功したのである。

「まだ、この方法でも不十分な小腸の病気はあります。より有効性の高い検査方法や治療法を実現したい。また、世界的に患者さんが増えているクローン病(原因不明の炎症性疾患)など、病態の解明が重要な病気もあります。いずれにしても、困っている患者さんに役立ち、将来の医学の進歩にも貢献できればと思います」と山本教授。その取り組みは現在も進行中である。 (安達純子)

<データ>2010年実績
☆上部消化器内視鏡検査8457件
☆大腸内視鏡検査4008件
☆小腸内視鏡検査(ダブルバルーン)361件
☆小腸内視鏡下処置&治療158件
☆病院病床数1130床
〔住所〕〒329-0498栃木県下野市薬師寺3311の1
(電)0285・44・2111

がん検診が原因でがん

『放射線被ばく CT検査でがんになる』近藤誠著 これって原発事故くらい怖いかも 

CT検査の放射線被ばくの量がこんなにすごかったとは! 原発事故で国が避難の目安にした年間被ばく線量20ミリシーベルトに対し、胸部CT検査1回の線量は10ミリシーベルト。エックス線撮影の200~300倍。これってヤバくないですか?

著者は「抗がん剤は効かない」「がん検診は百害あって一利なし」と常識を覆す言説で物議を醸してきた放射線科の医師だ。昨秋、雑誌でCT検査の危険性を告発して大きな反響を呼んだ。本書でも医療現場の大量被ばくに警鐘を鳴らし、原発事故による被ばくと発がんとの関連について解説した。

日本のCT装置の台数は断然世界トップで、そのぶん検査による被ばく線量も、検査が原因の発がん死亡率も世界第1位という。これほど日本が医療被ばくに無警戒なのはなぜ? 著者によれば、国も医療機関も患者・家族に正確な情報を伝えず、健康被害を最小に見せかけるように画策してきた。ん? この構図、最近見かけたような…。

さらに放射線被ばくに関する医師の意識は低く、「とりあえず」「念のために」と安易にCTをオーダーする。問診や聴診より手っ取り早く、しかも使うほど儲かる仕組みになっている。いや、患者にしたって「最新機器」による検査をありがたがる傾向がある。

放射線検査は「健康」を理由に生涯にわたって付き合いを迫られる。自己防衛のためには基本的な知識が必須だ。がん検診が原因でがんになったらブラックに過ぎる。

2011年8月15日 共同通信

2011年8月10日水曜日

水溶性食物繊維より不溶性の方が高い効果

食物繊維の摂取で循環器病リスク低下- 喫煙すると効果は帳消し

国立がん研究センターはこのほど、「食物繊維を多く摂取すると、脳卒中などの循環器病の発症リスクが低下する」との研究結果をまとめた。ただし、その効果は喫煙で相殺されるという。

岩手、秋田、茨城、新潟、長野、高知、長崎、沖縄の9保健所地域に住む男女約8万7000人(45-74歳)について、1995-98年から2004年 まで追跡調査。食物繊維の摂取量によって5つのグループに分類し、循環器病の発症リスクとの関連を調べた。期間中に2553人が脳卒中を、684人が虚血 性心疾患を発症した。

調査結果によると、女性では、食物繊維の摂取量が多いほど発症リスクが低下。摂取量が最も多いグループのリスクは、最も少ないグループに比べて0.65倍にまで下がった。しかし、男性では、こうした傾向は表れなかった。
さらに、喫煙との関連を調べたところ、男女とも、非喫煙者のグループでは、食物繊維の摂取量が多いと発症リスクが低くなったのに対し、喫煙者のグループでは、食物繊維を多く取っても、リスクが下がることはなかった。

これらから同センターの研究班は、「女性に比べて喫煙率の高い男性では、食物繊維による予防効果が相殺されたものと考えられる」と分析。また、水溶性の食物繊維より不溶性のものの方が、高い予防効果が見られたとしている。

2011年8月10日 日本経済新聞

乳酸菌でがん免疫力向上

乳酸菌が免疫細胞を活性化するとの研究は、多くの研究機関で実施されている。北海道大学では、さらに乳酸菌とβグルカン(ベータグルカン)を組み合わせることで、効果が倍増されることを実験で検証した。



インフルエンザウイルスや風邪ウイルス、がん細胞等と戦ってくれるナチュラルキラー(NK)細胞を活性化させる「1073R-1乳酸菌」(以下、 R-1乳酸菌)。その働きを示す調査結果が9日、東京・赤坂のホテルニューオータニにて発表された。R-1乳酸菌を長期間摂取した佐賀県有田町に住む小中学生のインフルエンザ感染傾向などが紹介された。
同調査は、佐賀県有田町、山形県舟形町にて実施。健康増進活動の一環として、2010年(有田町は9月、舟形町は6月)から今年3月18日までの 間、保育園・幼稚園児、小中学生全員と関係職員全員にR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを給食などで継続的に食べてもらい、インフルエンザや風邪の罹患率 や欠席率の変動についての継続調査を行った。
昨年12月末までの中間報告によると、佐賀県はインフルエンザの感染レベルが高い地域にも関わらず、有田町は周辺地域、佐賀県(有田町を除く)と比 べてインフルエンザの罹患率、欠席率が抑えられた結果となった。また、舟形町ではインフルエンザ感染の報告はなかった。今回公表された3月18日までの有 田町のデータでは、隣接する地区と比較してインフルエンザ(A/B/新型)の感染率が低く、統計学的に有意差があることが明らかになった。
これまでにも両町では、60歳以上を対象にした「R-1乳酸菌を使用したヨーグルトの長期摂取」の効果に関する調査を実施。R-1乳酸菌の入った ヨーグルトと牛乳を飲んだ人で比較したところ、NK細胞の活性が低い人の活性が高まることが確認されたほか、「風邪をひくリスク」が低減することが明らか になった。また、マウスを用いた動物実験では、インフルエンザウイルス(A型H1N1亜型)の感染予防に効果があることが確認されている。
今回の調査に協力し、実際に子どもたちを診察した有田共立病院院長の井上文夫先生が登壇し、調査結果を報告した。有田町の調査結果は、2010年 10月1日から今年3月18日まで、小中学生計1,904名が対象。インフルエンザによる欠席児童数を有田町、有田町に隣接する3市(伊万里市、武雄市、 嬉野市)と比較したところ、小中学生ともに摂取期間中のインフルエンザ(A/B/新型)の感染率が低かった。小学校に至っては隣接市に比べて10分の1程 度で顕著に差が出ており、特に中学校より小学校の方が、インフルエンザ感染率がより低い傾向にあるとした。また、学年ごとに比較しても隣接市より低いこと を説明した。
井上先生は、結論としてR-1乳酸菌を使用したヨーグルトは全般的なインフルエンザウイルス感染に対する予防効果がある可能性を示唆した。また、ア ンケートにより摂取期間を通じて家族が感じたことも調査しており、プレスセミナーでは保護者からの意見も紹介された。「風邪、インフルエンザにかかりにく くなった」「インフルエンザにかかっても症状が軽い」「鼻炎がかるくなった」など好意的な意見が多く寄せられている事実に触れ、「こういった意見を前面に 出すと科学的ではないという意見を持たれる人もいるかもしれないが、臨床の最前線に立つ者にとってはこういう声も大事にしたい」と述べた。
有田町での子どもたちのヨーグルト摂取調査について、順天堂大学医学部特任教授(免疫学講座)の奥村康先生は「個々の小学生、中学生のタイプ、イン フルエンザワクチンの接種の有無などバックグラウンドの違いも考えられないことではないが、インフルエンザワクチンの摂取率はどの地区でも差がないという ことは分かっている。そのことを踏まえて今回の調査結果を評価すると、統計的に非常に意味のある結果」とした上で、「我々のNK活性についての理論、動物 実験の結果や基礎的な論文の内容にピッタリ合う結果になっていて、我々が明らかにしてきた内容と矛盾のない結果が得られている」と述べた。
2011年8月10日 マイコミジャーナル

がん患者団体からの意見書

30のがん患者団体 患者の意見に耳を 対策推進基本計画見直しで厚労相らに要望書

全国の30のがん患者団体が、がん対策推進基本計画の見直しに向け、ドラッグ・ラグの解消や治療費などの経済的負担の解消に向けた議論を集中的に行うことなどを盛り込んだ要望書を8月8日付でまとめ、細川律夫厚生労働相らに提出した。

集中議論が必要だとしたテーマは
▽ドラッグ・ラグの解消に向けた議論
▽患者・家族が抱える就労問題、経済的負担の解消に向けた議論
▽科学的根拠に基づくがん検診の普及・啓発・精度管理(偽陽性・過剰診断などの不利益に関する救済を含む)に関する議論
▽サバイバーシップ概念の普及に関する議論(計画内、サバ イバーシップの言葉を盛り込む)――。
薬事や就労問題を含めており、省を挙げた取り組みを促す内容。

がん対策推進基本計画は07年度~11年度からの5カ年計画。来年度からの次期計画実施に向け、計画見直しの議論が厚労省のがん対策推進協議会で行われて いる。しかし団体側によると、その見直しの議論を進めるでは、患者の求めるテーマが議論されることが少ないまま進んでいる。今後の議論にも強い懸念がある として、議論すべきテーマをまとめ厚労相ほか、同協議会の門田守人会長、同省がん対策室の鈴木健彦室長あてに要望書を提出することになった。
2011年8月10日 ミクスonline

日本に8カ所のがん治療施設

 新しいがん治療で注目を集めているのに粒子線治療がある。これまでの放射線治療では困難だった、患部だけを狙い撃ちできるという特長がある

これだと手術のために入院することなく、患者の負担も少なくて済む。現在、日本に8カ所の治療施設があり、粒子線に必要なレーザー光線が得られれば、全国に展開できるという

このレーザー光線は「新しい光」と言われ、製作技術で日本は世界のトップレベルをキープしている。がん治療など医療分野だけでなく、最近では金属の表面100万分の1ミリメートル(ナノスケール)を観測するためのレーザー技術の応用も目を見張るものがある

先日、兵庫県の理化学研究所で開発、公開された世界最短波長のX線レーザー発振装置「SACLA(サクラ)」もその産物だ。全長約700メートルの細長い構造で出口から強いレーザー光線が発射される

「21世紀の科学技術、想像できないような新産業を支える基盤にしたい」と石川哲也同研究所センター長。原子レベルの超高速運動の観察やたんぱく質、細胞の解析もできる。スーパーコンピューター「京」との連携も発表された

原子関連技術は今日、原子力発電によるエネルギー供給という面だけがクローズアップされ議論されているが、実は生活環境の細部にまで入り込み生かされている。総合的な技術としての原子力の姿を冷静に見詰め、管理していく必要がある。

2011年8月10日 世界日報

2011年8月9日火曜日

子宮がん女優が8時間の子宮全摘出手術

子宮筋腫だと思って検査したら子宮頚がんだった

女性特有のがん子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であることがわかっている。HPVは性体験のある女性なら6~8割の 確率で一生に一度は感染するというありふれたウイルスで、ストレスや病気などで免疫力が落ちていると“前がん”状態になり、さらにがんへと変異する場合が ある。
乳がんと同様に、このがんに関しても日本人女性の検診率は低く、無料で検診を受けられるクーポン券の利用者は2年間で24.3%にとどまっている。
受診を先延ばしにしているうちに、取り返しのつかない経験をした人がいる。女優の洞口依子さん(46)だ。
洞口さんは2004年、38才のときに子宮頸がんの宣告を受けた。
「その前の年の夏ごろから生理不順が続いていたんですが、夏の疲れやストレスのせいだろうと思い込んでいたんです。そのうちに生理以外のときに出血 があり、痛みも出始めました。それでも病院に行くのが嫌で、ネットなどでいい病院を探したりはしていたものの、ずるずると先延ばしにしてしまって。やっと 病院に行ったのは年が明けてからでした」(洞口さん)
自分では子宮筋腫だろうと思っていたが、検査の結果は子宮頸がん。すでに腫瘍がかなり大きくなっており、広汎性子宮全摘手術をすすめられた。
「広汎性子宮全摘手術は、子宮だけでなく卵巣、卵管、膣の一部、骨盤内のリンパ節までを一度に切除してしまう大手術で、医師の説明を聞いていて、思わず固まってしまいました。いつか夫との子供を産めたら、と漠然と思っていましたが、断念するしかありませんでした」(洞口さん)
2004年2月、洞口さんは8時間に及ぶ手術を受けた。しかし、後にリンパ節への転移が見つかり、放射線治療と抗がん剤治療を続けて受けることに。退院後もホルモンバランスの崩れによって20kgも太ったり、うつ状態やパニック障害にも悩まされたという。
2011年8月9日 女性セブン2011年8月18日号

がん増殖や動脈硬化に関わる遺伝子

腎臓の炎症、がん関連遺伝子が関係 東大チームが解明

がんの増殖に関わる遺伝子の働きで、腎臓の炎症が進む場合があることを、東京大の永井良三教授や真鍋一郎特任准教授らのチームが、マウスの実験で確かめた。この遺伝子の働きを抑える薬ができれば、慢性腎臓病の新しい治療になることが期待される。

この遺伝子は「KLF5」といい、永井教授らが2002年に発見。動脈硬化やがんの増殖に関わることが分かっている。慢性腎臓病の炎症が血管の炎症とも似ており、マウスの腎臓での働きを調べた。

マウスの尿管を縛ると、腎臓では尿を濃縮する集合管という場所でKLF5が盛んに働き、炎症が起きる仕組みを活性化していた。一方、遺伝子操作でKLF5を働きにくくしたマウスでは、尿管を縛っても炎症は起きなかった。

2011年8月9日 朝日新聞

2011年8月8日月曜日

肝臓の解毒力強化する がん予防食品

肝臓の解毒力
酵素活性化でがんを抑制

肝臓の解毒力強化の鍵を握る「発芽ブロッコリー」の研究は、1990年代の米国で始まった。当時の米国では、がんによる医療費の増大が深刻化しており、そうした社会背景の中で、ジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士がブロッコリーの中にがん予防に寄与する成分「スルフォラファン」を発見した。

人体が食事や呼吸とともに取り込んでいる化学物質の中には、体内で発がん性物質に変化するものもある。そうした発がん性物質を含め、体内の有害物質を無毒化してくれるのが肝臓の「解毒酵素」だ。スルフォラファンはこの解毒酵素を活性化させるため、がん抑制につながる。

発芽ブロッコリーに含まれるスルフォラファンの含有量は、成熟ブロッコリーの約20倍に達することがタラレー博士の調べで明らかになっている。日本でも発芽ブロッコリーを活用してさまざまな肝障害を改善すべく研究が進んでいる。

2011年8月8日 産経新聞

甲状腺悪性腫瘍の90%強を占める乳頭がん

甲状腺良性腫瘍について

【質問】
40代の女性です。最近、首に膨らみを感じて病院に行くと、3センチの甲状腺の良性腫瘍だと分かりました。腫瘍が徐々に大きくなる可能性があるものの、すぐに手術をする必要はなく、2カ月後にエコーとCT検査をするように勧められました。腫瘍が大きくなる前に手術をする方がいいとも思うのですが、大きくなってからでもいいのですか。現在、物を飲み込んだときに多少違和感があります。  

【答え】
徳島市民病院外科医師 山崎眞一(徳島市北常三島町)

がんの疑いでも慌てずに


超音波検査を用いた頸部(けいぶ)検診の普及によって、甲状腺腫瘍が発見されることが多くなってきました。一方、他人からの指摘や自分で偶然に、甲状腺腫瘍に気付かれる方も案外多いものです。

甲状腺腫瘍も他の腫瘍と同様に良性と悪性に大きく分けられます。診断は、触診、超音波検査、細胞診が三本柱です。触診と超音波検査だけでも、かなりの確率で良悪性の判断が可能ですが、良性のように見えて悪性であることや、その逆もまれではありません。

細胞診は、細い針で腫瘍から細胞を採り、顕微鏡で良悪性を判定する検査です。精度は高いものの、やはり100%の診断率ではありません。

ご質問では、良性腫瘍との診断がなされているとのことですので、今回は、良性腫瘍の取り扱いや治療方針について述べたいと思います。

日本甲状腺外科学会などが昨年秋に刊行した「甲状腺腫瘍診療ガイドライン」では、良性と思われる甲状腺腫瘍の手術治療の目安として
▽腫瘍が大きい
▽経過とともに増大する
▽圧迫などの症状がある
▽飛び出していて目立つ
▽がんが否定しきれない
-などが挙げられています。大きさについては、3~4センチを超える腫瘍は手術適応としている施設が大部分です。

それ以下の大きさか、大きくても本人が経過観察を希望された場合は、3~6カ月に1度くらいの頻度で経過を診ることが多いです。急に大きくなることはま れで、1年以上の経過で腫瘍径が50%以上大きくなるのは4~22%。一方、小さくなるのも0~20%との報告もありますが、長期間にわたったデータの集 積はありません。

腫瘍があると分かった途端、「そういえば違和感などの症状があった」と思われることは、よくありますが、心理的な要素も多分に影響しているかと思われま す。実際は、かなり大きな腫瘍でもなんらかの症状を来すことはあまりありません。ただ、逆に小さくても首の前方に飛び出て目立つこともあり、ご本人が気に される場合は手術の適応となります。

問題になるのが、がんが否定できない場合です。甲状腺悪性腫瘍の90%強を占める乳頭がんは、超音波検査や細胞診で術前診断が可能なことが多いのですが、先に書いたように、診断の精度は100%ではありません。

また、数%を占める濾胞(ろほう)がんは、超音波検査でも良性腫瘍との鑑別が非常に難しく、細胞はがんの顔つきをしていませんので細胞診でも診断不能です。3~4センチ以上の腫瘍が手術適応となるのは、大きいほど濾胞がんの確率が高くなることが一つの理由です。

手術適応がある良性腫瘍と診断されても、慌てる必要はありません。十分にご家族で相談され、家庭や仕事の都合を考慮して、治療を検討してください。乳頭がんや濾胞がんの疑いを持たれても、通常は性質が非常におとなしいので、治療を急ぐ必要はありません。

日常の診療では、実際に触り、超音波画像を見て、患者と相談しながら治療方針を考慮しています。今後の方針については、以上のことを参考にしながら、主治医と相談していただければ幸いです。

2011年8月7日 徳島新聞

2011年8月5日金曜日

抗がん剤を効率的に作用させる方法

DDS: Drag Delivery System つまり「薬を運ぶ機能」を意味します。同じ抗がん剤でもがん病巣に集中して抗がん剤を運ぶことで、副作用を低減し、効果を倍増することができるのです。

慈恵医大など、抗がん剤を5倍運べるカプセル 水溶性に向く

東京慈恵会医科大学などの研究チームは、水に溶けやすい抗がん剤を病巣に届ける新しいDDSを開発した。「中空磁性カプセル」と呼び、カプセル を構成する微細な粒子が適度な隙間を作る。従来のカプセルより5倍以上の薬剤を運べるという。海外の製薬企業と連携し、製品化を目指したい考えだ。
東北大学、東京工業大学との研究成果。新開発のカプセルは直径が300ナノ(ナノは10億分の1)メートルで、微細な粒子が網の目のようにつながってできている。
2011年8月4日 日経産業新聞

超党派国会議員のがん対策が加速

がん対策は「一段と高速のギアに」- 超党派議連・尾辻氏
来年度予算編成の概算要求を前に、超党派の国会議員でつくる「国会がん患者と家族の会」(代表世話人=尾辻秀久・自民党参院議員)は8月4日、国のがん対策推進協議会(会長=門田守人・阪大理事・副学長)や患者団体などからヒアリングを行った。冒頭、あいさつに立った尾辻氏は「いよいよ、一段と高速のギアに入れなければならない時が来ている」と述べ、今後、がん対策の取り組みを加速させる意向を表明した。
門田会長は現行のがん対策推進基本計画について、
  • 医療データの不足
  • 国民のがん教育
  • 施設完結型の医療提供体制
の3つの問題点を指摘した上で、長期的視野に立った計画の必要性を強調。それらの問題を解決へと導くため、国民や医療者に対する教育の見直しや、地域にシフトした医療提供体制の構築、そして全国民を対象としたがん登録制度の確立を求めた。  一方、同協議会の下に設置されたがん研究専門委員会の野田哲生委員長(がん研究会・常務理事)は、来年度のがん研究関連予算について、
  • 臨床試験の統括・調整の役割を担う「がん臨床試験統括支援機構」の設立
  • アカデミア創薬の支援強化と創薬支援機構の設立
  • がんバイオバンクの設立とゲノム・エピゲノム解析拠点の整備
を要望。小児がん専門委員会の原純一委員長(大阪市立総合医療センター副院長)は、小児がんの情報を集約化した「小児がん情報センター」(仮称)や高度な診療機能を持つ「小児がん拠点病院」(同)の設置、小児がん用薬剤の治験を推進するための制度について提言した。  また、緩和ケア専門委員会の江口研二委員長(帝京大医学部附属病院副院長・内科学講座教授)は、
  • 緩和医療外来
  • 院内の緩和ケアチーム
  • ホスピス、PCU(緩和ケア病棟)の役割
を早期緩和 ケアを推進する診療・連携体制の「3本柱」に位置付け、緩和医療外来については、拠点病院への専任医師・看護師や緩和ケアチームにおける教育担当スタッフ の配置などを要望。また、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなどによる「定期ネットワーク会議」を開くことで、地域の緩和ケアで顔の見える関係の構築 や、24時間体制で緩和ケアを行う「在宅緩和ケア専門診療所」(仮称)の設置も求めた。

高額療養費の上限額は「所得に応じて軽減を」

このほか、患者団体からは、高額療養費制度の負担上限額を所得に応じて軽減するなど、長期治療を受けるがん患者に対する経済支援を求める意見のほか、小児がんに関するデータの蓄積などを目的とした「小児がん登録」を推進するための法整備などの要望があった。
2011年8月4日  キャリアブレイン )

肺、肝臓転移の大腸がんから回復

がん患者 鳥越俊太郎著 臨場感ある克明な治療記録

日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人が命を落とす。この事実を知れば、がんはとても人ごとだとは思えない。

著者であるジャーナリスト鳥越俊太郎さんの大腸がんは「ステージ4」だった。ちなみにがんのステージは進行度合によって1から4まであり、手術の結果、「最悪」だったことがわかる。

がんは肺や肝臓にも転移し、著者はこれまで4回の手術を受けている。ステージ4の5年生存率(最後の手術から数えて5年)はわずか10%程度。まさしく「がんと向き合う日々」である。

本書が他の“がん本”と一線を画すのは、がんの前触れに始まり、検査、告知、手術、抗がん剤治療、転移の実態までジャーナリストの視点から克明に、そして客観的に描かれている点にある。著者は取材者としての武器を「好奇心と集中力」と自己分析するが、それが遺憾なく発揮されている。

余談だが著者が手術を受けた病院で学生時代、私は半年ほど看護助手のバイトをしたことがある。臨場感を味わいながら読めたのは、そうした理由にも依るだろう。

2011年8月3日 日本経済新聞

2011年8月4日木曜日

がん細胞の増殖を防ぐがん抑制遺伝子

九大など、がん抑制遺伝子の制御分子を発見 - 新たながん治療薬開発に期待

九州大学(九大)生体防御医研究所の鈴木教授らのグループは、大阪大学(阪大)の森正樹教授(九州大学客員教授)らのグループと共同して、がん抑制遺伝子として重要なp53遺伝子を制御する分子「PICT1」を発見し、その分子機序を明らかにした。同成果は米国の科学雑誌「Nature Medicine」に掲載された。

p53遺伝子などの 「がん抑制遺伝子」は、がん細胞を 自爆死させたり 、がん細胞の増殖を防ぐ役割を果たしている。これまでに、放射線照後のDNA障害やがん遺伝子の過剰発現によって、p53遺伝子が活性化されることが知られていた が、近年これらに加え、リボソーム形成を標的とする薬剤などによる核小体ストレス経路刺激によってもp53が活性化されることが知られてた。

2011年8月3日 マイコミジャーナル

細胞内蛍光検出するがんマーカー

がんマーカー「グルタチオン転移酵素」の細胞内蛍光検出法を開発

がん診断法や投薬前診断法の新手法、基礎から診断まで応用可能

生体内に入り込んだ異物を解毒する機能の一翼を担うグルタチオン転移酵素(GST)は、グルタチオンと異物の抱合体をつくり、体外に放出し無毒化する作用を持つとともに、がん細胞では過剰発現しがんのマーカー分子の1つとして、その作用が注目されています。しかし、このGSTの過剰な反応が抗がん剤 を速やかに細胞外に放出するため、薬剤耐性の原因ともなっています。そのため、異物を解毒する機能の一翼を担うGSTの量を知ることが欠かせず、高感度で 検出することができるプローブの開発が望まれていました。
基幹研究所伊藤ナノ医工学研究室らは、このGSTの存在や量を多色で可視化することができるイメージングプローブの開発に成功しました。具体的に、 市販の蛍光化合物のアミノ基に求電子性のアニールスルフォニル保護基を導入する手法でGST検出プローブを合成しました。その結果、検出プローブにGST とグルタチオンを加えると、GSTの触媒的な反応でグルタチオンが検出プローブに求核攻撃を行い、検出プローブから保護基が外れ蛍光を発生します。実際に は、青、緑、赤の各蛍光化合物に保護基を導入し、無色状態にした化合物に、GSTとグルタチオンを添加し、それぞれの色に発色することを確認しました。反応性はGSTが存在しない場合と比べると10の6乗倍~10の9乗倍(発光色によって異なる)と感度が大きく増加しました。ヒト乳がん細胞を使ったモデル実験では、細胞内のGST量を検出することに成功しました。

この手法を抗がん剤へ応用し、GST量の高いがん細胞に特異的に薬理活性を示すプロドラッグの開発を進めていきます。

2011年8月3日 プレスリリース

肺がんに効果的な抗がん剤治療

ヤクルトと米プロアクタ社、共同研究開発対象に低酸素活性型プロドラッグ「PR610」を追加

抗がん剤の共同研究開発と商業化に関する契約の変更

~非臨床・初期臨床試験の共同実施の対象に「PR610」を追加~

プロアクタ社(最高経営責任者:John C, Gutheil)と株式会社ヤクルト本社(社長:根岸 孝成)は、本年2月に締結した、がん治療薬のため の低酸素活性型プロドラッグ(低酸素状態で活性型に変換される化合物)「PR509」の共同研究開発と商業化に関する契約(原契約)に、プロアクタ社が保 有し、「PR509」と同様の効果が期待できる低酸素活性型プロドラッグ「PR610」を含むよう内容を変更しました。原契約では、(株)ヤクルト本社 は、日本における「PR509」の研究、開発および商業化する権利を付与されています。

【PR509およびPR610について】
PR509およびPR610は、ニュージーランドにあるオークランド大学のオークランドキャンサーソサエティリサーチセンターで発見された、プロアクタ社が所有する低酸素活性型の不可逆的なマルチキナーゼ阻害剤(複数のリン酸化酵素の阻害剤)です。

現在、様々ながんの治療に際して、可逆的なマルチキナーゼ阻害剤が使用されていますが、薬剤耐性がしばしば発現します。また、副作用によって高用量の使用が制限される場合があります。

PR509およびPR610は、大部分の固形がんで特異的に見られる、極めて低酸素な状態でのみ活性型に変換される低酸素活性型であることから、その活性型の濃度が、がん細胞で高濃度となります。このため、有効性が改善され副作用が軽減されることが示唆されています。また、これらの薬剤の作用は不可逆的で あることから、可逆的な阻害剤に見られる薬剤耐性を回避することができると期待されます。

なお、PR509およびPR610は、可逆的 なチロシンキナーゼ阻害剤であるエルロチニブやゲフィチニブ耐性の非小細胞肺がんに対する開発を当面の目標としております。エルロチニブやゲフィチニブ耐性の非小細胞肺がんにおける効果的な抗がん剤治療は未だ確立されていません。プロアクタ社は、将来的には、これらの薬剤について非小細胞肺がんに加えて、 胃がん乳がん膵臓がんのような他のがんについても検討を行う予定です。

2011年8月3日 プレスリリース

2011年7月7日木曜日

胃がん新薬の問題点

高額新薬「平均+1SD」ルールを緩和へ- DPC分科会が骨子案了承

厚生労働省は、新たに承認されたり効能が追加されたりした高額薬剤を当面はDPCの対象外にし、出来高算定にする際の判断基準となる、現行のいわゆる「平均+1SD(標準偏差)」ルールを緩和する方針を固めた。抗がん剤などの高額薬剤をDPC対象病院で使いやすくするのが狙い。来年4月に予定している診療報酬改定で対応する方針だ。

7月6日のDPC評価分科会に対応の骨子案を提示し、了承された。同省は、8月1日に予定している次の会合に見直しの具体案を示す。

新規に薬価収載された医薬品は、DPCの診療報酬点数に反映されないため、一定の基準に該当する医薬品などを使用した患者については包括評価の対象外と し、次の診療報酬改定までは出来高算定することになっている。具体的には、「新薬を使用した場合の標準的な費用の見込み額」が、その診断群分類における薬 剤費の分布の平均値+1SDを超える場合に出来高算定する。

点数表に反映されていない高額薬剤を使用することにより、DPC対象病院の持ち出しが発生することに配慮した措置だが、現場からは「基準が厳しすぎる」との指摘がある。分科会が6月に行った関係者からのヒアリングでは、胃がんの治療に使う「トラスツズマブ」の使用に支障が生じ、治療が制限されているとの声が上がっていた。

この日分科会が了承した骨子案によると、こうした状況を防ぐため現行の判断基準を緩和するとともに、出来高評価にする新薬の適応・効能や、それらを使用 する診断群分類を明確化する。一方で、薬剤の費用をカバーしようと入院期間を長引かせるのを防ぐため、点数設定上での工夫を検討する。

判断基準の見直しについて分科会の委員からは、標準偏差の代わりに「パーセンタイル値」を使うべきだとの意見があった。

2011年7月6日 キャリアブレイン

温熱療法でがん細胞を死滅

磁性ナノ粒子による「癌の温熱療法」

韓国延世大学の Jinwoo Cheon 氏の率いる研究チームは、磁性ナノ粒子を癌組織に注入し、電磁場で磁気発熱させることで腫瘍局所を加熱してがん細胞を死滅させる「磁性ハイパーサーミア」をネズミで実験したところ、細胞を死滅させることに成功したとのこと (ScienceNOW の記事、本家 /. 記事より) 。

細胞は 43 度以上の環境で死滅させる治療法「ハイパーサーミア」は今に始まったことではないが、に侵されていない正常な細胞に影響することなく如何にして癌細胞を加温するかが課題となっていた。

研究チームは、ネズミ 3 匹の腹部に人間の脳腫瘍細胞を移植し、そこへコアシェル型ナノ粒子を注入。電磁場を作るコイルの中にそのネズミを置いたところ、コイル内の電磁場は腫瘍を 推定 43 ℃から 48 ℃にまで発熱。10 分のこの治療を 4 週間続けたところ、ネズミの細胞を死滅させることが出来たのだそうだ。これに対して、抗がん剤治療を一回受けたネズミは一時的に癌組織が縮小したものの、最終的には組織が 4 倍にまで広がってしまったという。

2011年07月06日 SLUSH Dot