2011年4月28日木曜日

がん治療副作用を防げる食品

 パパイアに著しい抗がん特性、日米共同研究

米フロリダ大(University of Florida)は9日、パパイアの葉のエキスと葉茶に著しい抗がん特性を認めたとする研究結果を発表した。頸部(けいぶ)がん乳がん肝臓がん、肺がん、すい臓がん抗がん効果が確認されたという。

同大のナム・ダン(Nam Dang)研究員と日本の研究チームは、乾燥したパパイア葉から抽出したエキスを10種類のがん細胞に垂らし、24時間後に効果を調べた。

その結果、10種類すべてで腫瘍(しゅよう)の進行が遅くなっていたことがわかった。また、エキスの濃度が高いほど効果が高いことも明らかになった。

研究者らは、パパイア葉エキスがTh1型サイトカインと呼ばれるシグナリング分子の生産を促すことで、免疫系の調節を助けているためではないかと見ている。

このエキスは正常な細胞には危害を加えず、現行のがん治療における一般的な副作用を防げることも明らかになったため、免疫系に働きかけてがんを退治する新たな治療法への応用が期待されるという。

パパイアは、世界各地、特にアジアにおいて、さまざまな病気への民間療法のなかで使用されてきた。

詳しい研究内容は医学誌「Journal of Ethnopharmacology(民族薬理学)」2月号に掲載されている。

2010年03月10日 AFP

肺がん発病後の禁煙価値

喫煙者が肺がんを患っていると診断された後でも、死刑宣告を受けたよ うにとらえずに禁煙すれば、生存の可能性はかなり高まるという研究結果が22日、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」(電子版)に発表された。

喫煙とがん患者の生存率に関する研究論文10本を精査した英バーミンガム大学(Birmingham University)の調査によると、肺がんと診断されても喫煙し続けた人では5年後、29~33%しか生存していなかったが、診断後すぐに禁煙した人では、63~70%が生存していた。

今回の調査論文を執筆した研究者らは、タバコの煙が腫瘍(しゅよう)の成長を加速するのではないかと推測しているが、確証を得るにはさらに研究が必要だという。 

いずれにせよ今回の結果は、初期のうちに肺がんが発見された患者に、医師が禁煙を勧める価値はあるだろうと、研究チームはまとめている。

2011年1月22日 AFP

2011年4月26日火曜日

甲状腺がんが増えた

原発事故で注目 甲状腺がん 進行ゆっくり 症状はしこり

福島第一原発の事故に世界の関心と懸念が集まる中、心配されているのが、放射線被ばくによる将来の甲状腺がん発生のリスクだ。そもそも、甲状腺がんってどんな病気だろうか。正しく理解して、対応したい。 (野村由美子)

甲状腺は、チョウが羽を広げたような形の内分泌臓器で、成長や代謝に関わる甲状腺ホルモンを作る働きを持つ。のど仏、輪状軟骨の下にあり、気管を前面から囲むように存在する。

甲状腺ホルモンの“材料”はヨード(ヨウ素)のため、甲状腺はヨードを積極的に取り込む性質がある。今回の原発事故では、放射性物質のヨウ素131などが大量に放出され、吸った場合、内部被ばくする恐れがある。

甲状腺がんの多くは、のど仏の近くに、しこりを感じる以外の症状はない。検診などで塊が見つかることもあるが、ほとんど良性だ。十年、二十年かかって成長するため、気付かないまま別の病気で亡くなる人も少なくないという。

「ごく一部を除けば、進行がとてもゆっくりでおとなしいがんです」と、甲状腺専門医の中村浩淑(ひろとし)・浜松医科大第二内科教授(内分泌代謝学)は話す。

治療は手術が基本。ほとんどの場合、最初にきちんと患部を取り去ることで治る。がんのある側の甲状腺を取り去る場合と、全摘する場合がある。

全摘後や甲状腺の機能が低下した場合は、甲状腺の機能を補うために、ホルモン薬を一日一回飲む。副作用はない。周辺のリンパ節に転移しても予後はいい。万一、肺などに転移した場合でも、進行は非常にゆっくりだ。

国立がん研究センターがん対策情報センターによると、人口十万人当たりの患者数(二〇〇五年)は、男性三・四人、女性一〇・八人。同じく死亡者数(〇九年)は、男性〇・八人、女性一・七人。主ながんに比べると、かなり低い。

甲状腺がんの発生原因は、女性に多い理由も含めてよく分かっていない。甲状腺がん患者が最近、世界的に増加している、とするデータがあり、コンピューター断層撮影(CT)やPET検査など医療被ばくが関係しているのではないかという説もあるが、異論も多い。

旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(一九八六年)の際、五歳未満で被ばくした子どもだけ甲状腺がんが増えた、とのデータが報告された。高濃度に汚染された牛乳を飲み続けたのが原因と考えられている。

子どもは、大人よりはるかに甲状腺の放射線に対する感受性が高い。中村教授は「浴びなくてもいい放射線は、できる限り避けた方がいい。特に十歳以下は気をつけて」と注意を促す。

また、急性被ばくと慢性被ばく、外部被ばくと内部被ばくを分けて考える必要性を指摘した上で「原発周辺で作業している人の被ばくは、きちんと対処しなくてはいけないが、現時点で、ほかの大人が、甲状腺がんの危険を心配する必要はないでしょう」と話している。


 【甲状腺の他の病気】
甲状腺ホルモンは、全身に作用し、子どもの発育や大人のエネルギー産生・代謝に関わる。  ホルモンが多くなる病気(甲状腺機能亢進(こうしん)症)の代表は、バセドー病。甲状腺が腫れ、眼球が突出するなどの症状のほか、いつも全力疾走しているような状態になるため、汗をよくかき、動悸(どうき)がして、体重も減っていく。  ホルモンが少なくなる病気(甲状腺機能低下症)の代表は、橋本病。同じく甲状腺が腫れ、疲れやすい、冷える、無気力などの症状がある。  これらの甲状腺機能障害は、放射線とは無関係だ。  バセドー病は、抗甲状腺薬の服用、橋本病は甲状腺ホルモン薬で治療する。橋本病の六割はホルモン値が正常で、治療の必要はない。  中村教授は「専門医でなく、内科や婦人科などを受診して、甲状腺の病気が見過ごされていることも多い。患者さんも医師も、甲状腺に関心を持ってもらうことが大切」と話す。

2011年4月26日 東京新聞

免疫機能を生かしたがん抗体医薬品

仏バイオ製薬のビバリス、富山VBと共同開発

仏バイオ製薬、ビバリス(仏・ナント市)は、バイオベンチャーのエスシーワールド(富山市、末岡宗広社長)と提携し、富山に日本初の研究開発拠点を設置 した。ビバリスはエスシーが持つ抗体の採取技術を活用し、新しい抗体医薬品の開発に着手する。県では両社の提携が県内医薬品産業の発展を加速させると期待 している。

25日、ビバリスのフランク・グリモ最高経営責任者(CEO)が県庁に石井隆一知事を訪問し明らかにした。このほど100%子会社のビバリス富山ジャパ ン(富山市)を設立、5月から事業を開始する予定。石井知事は「今回の提携の成果が出れば、富山県の医薬品産業の発展につながる」と話した。

ビバリスの新会社の従業員は7人で、うち研究者は4人。グリモCEOが代表を兼任。エスシーが入居するビルと同じ場所に設置しており、研究所は富山大杉谷キャンパス(富山市)に置いた。

新会社では、まずエスシーの技術をビバレスのフランス・リヨンの研究所に伝え、両社の持つ技術の優れた部分を改めて洗い出す計画。将来的には新会社をビバリスの日本・アジアの拠点と位置づけて、アジア市場の開拓を目指す。

エスシーの技術の核心は直径約10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの微細な穴が25万個空いたチップ(薄い板)。この穴に抗体を生み出すリンパ球を入れる。ウイルスなど抗原を含んだ溶液を流し込むと抗原が穴に入り、リンパ球と反応して抗体が生まれる。抗体獲得には一般的な手法では2~6カ月かかるが、同技術だと2週間以内で済む。

ビバリスは薬剤の原料となる抗体を見つけ出す技術やたんぱく質の製造技術をすでに持ち、がんやインフルエンザなど治療ニーズの高い領域を中心に、ヒトの免疫機能を生かした抗体医薬品やワクチンの開発などに取り組んでいる。エスシーが持つ抗体を見つけ出す技術と組み合わせることで、開発の迅速化が図れると期待している。

ビバリスは1999年設立。2010年の売上高は11億円以上の見込み。グリモCEOは「エスシーの持つ技術や人材がすばらしく、富山で共に仕事をすることを決めた」と話した。

2011年4月26日 日本経済新聞

2011年4月23日土曜日

末期乳がんへ新薬承認

エーザイ、生存延長の治験結果を持つ乳がん治療薬の承認取得

エーザイは22日、乳がん治療の抗がん剤「ハラヴェン」の日本での製造販売承認を取得したと発表した。臨床試験(治験)でハラヴェンを投与した乳がん患者は、他の抗がん剤などで治療した患者と比べ、生存期間が約3カ月長かった。薬価(医薬品の公定価格)が決まり次第、発売する。

ハラヴェン投与患者の生存期間の中央値は13.2カ月で、他の治療法では10.5カ月だった。エーザイは欧米でも承認を得ており、各国で順次発売する。2015年までに10億ドル(約820億円)の世界売上高を目指す。

2011年4月22日 日本経済新聞


新規抗がん剤ハラヴェンが承認取得- エーザイ

エーザイは4月22日、新規作用機序の抗がん剤ハラヴェン静注が「手術不能又は再発乳がん」の効能・効果で製造販売承認を取得したと発表した。既に欧米などで承認されており、エーザイは3月に発表した中期戦略計画で、ハラヴェンの2015年以降の全世界売上高目標を20億ドルとしている。

欧米を中心に行ったグローバルフェーズ3試験では、主要評価項目である全生存期間中央値がハラヴェン投与群では13.1か月となり、主治医選択治療群の10.6か月に対し、2.5か月間延長したという。
ハラヴェン投与群で高頻度(頻度25%以上)で認められた有害事象は、無気力(疲労感)、好中球減少、貧血、脱毛症、末梢神経障害(無感覚、手足などのしびれ)、吐き気、便秘だった。このうち、特に重篤な有害事象として報告されたのは好中球減少(発熱を伴う症例が4%、発熱を伴わない症例が2%)。投与中止に至った主な有害事象は末梢神経障害(5%)だった。

通常、成人には、1 日1 回1.4 mg/平方メートル(体表面積)を2-5 分間かけて、週1 回、静脈内投与する。これを2 週連続で行い、3 週目は休薬する。これを1 サイクルとして、投与を繰り返す。患者の状態により適宜減量する。

2011年4月22日 キャリアブレイン

2011年4月20日水曜日

肝臓がんに効果が高い治療戦略

肝臓がんのゲノム初解読=遺伝子変異多数-国立センターなど

肝臓がん細胞の全遺伝情報(ゲノム)を世界で初めて解読し、がんを抑える遺伝子の機能喪失や働きの低下につながる変異を多数発見したと、国立がん研究センター研究所や東京大などの研究チームが19日発表した。新たな診断・治療法を開発する手掛かりになると期待される。

解読対象は、日本人の肝臓がん患者の8割を占めるC型肝炎ウイルス(HCV)感染による肝臓がん。詳細に解析できたのは70代の男性患者1人だが、さらに 多くの患者について解析中。同研究所の中釜斉所長は「肝臓がんは複雑で、いろんなタイプが混在しているらしいことが分かった。

研究が進めば、患者ごとに効果が高い治療戦略を立てられるようになる」と話した。
この研究は主要国の研究機関が各種のがんを分担する「国際がんゲノムコンソーシアム」の活動の一環で、成果報告は英国の乳がんに続き2番目。論文は米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に掲載された。

2011年4月19日 時事通信

2011年4月15日金曜日

すい臓がんに新薬

武田、すい臓がん薬の最終段階の臨床試験を国内で開始

武田薬品工業は14日、すい臓がん治療薬の最終段階の臨床試験(治験)を日本で始めたと発表した。米国の製薬大手アムジェンが作り出した新薬候補「AMG479(開発番号)」で、がん細胞の成長などに必要なたんぱく質の受容体を阻害し、がん細胞が体内で大きくなることを抑える効果が期待されている。

アムジェンが米欧などで進めているグローバル治験に武田薬品が参加し、日本での作業を担当。2014年の12月末までに治験までに治験を終え、15年をめどに国内で製造販売承認を申請することを目指す。

2011月4月14日 日本経済新聞

韓国伝統酒マッコリの抗がん物質

マッコリにがん物質…韓国の研究所が発表

韓国食品研究院は14日、日本でも人気の韓国伝統酒マッコリ(コメなどで造った濁り酒)について、ほかの酒類と比較して最大約25倍の抗がん物質が含まれているとの研究結果を明らかにした。乳酸菌が多いとして消費を拡大していたが、同研究院の関係者は「1日に1~2杯飲めば(がん予防にも)効果的」と話している。

同研究院によると、韓国内で市販されている酒類を分析したところ、マッコリからビールやワインと比較して10~25倍のファルネソールが検出された。ファルネソールは果実酒の香りの成分で抗がん抗腫瘍の性質を持つという。

ファルネソールはマッコリの白い沈殿物に多く含まれているといい、同研究院では「飲む時はよく振ってから」とアドバイスしている。

マッコリはビールや焼酎に比べて人気が低かったが、近年になって飲みやすさなどから韓国でも女性の注目を集め、人気が急上昇している。

2011年4月14日 共同通信

放射能を除去できるニセ薬と健康食品

「ゼオライト」にも、「楽笑(βグルカン)」にもは放射能を除去できる機能など無い。

「βグルカン」は免疫力の向上によってがん治療に使用されることの多い商品だが、放射線治療の副作用を抑制することはあっても、放射能を除去するような効果までは期待薄だろう。

逮捕者の出た「ゼオライト」よりも、「楽笑、βグルカン」の自作自演、口コミを用いた広告宣伝は目を疑うものだが、騙される消費者はかなりの人数の模様。 そもそもβグルカンの健康食品としてさえも、その純度の低さが原因で黒酵母βグルカンは低迷している。βグルカン健康食品の中では黒酵母βグルカンの「楽 笑」は成分が希薄にもかかわらず高級な商品として特殊な存在なのだ。

それでもβグルカン健康食品を求めるなら、せめてパン酵母抽出の高純度品にしたいものだ。
デマに流されず、賢明な買い物を心掛けよう!


2011年4月5日 読売新聞

    「放射性物質を体外に出す」ニセ薬をネット販売

    体内被曝(ひばく)への効能をうたい、米国から輸入した健康食品を無許可販売したとして、警視庁は5日、健康食品販売会社社長・梅若文孝(50)(神戸市 灘区宮山町1)、同社従業員・千葉なつみ(29)(同)の両容疑者を薬事法違反(無許可販売など)の疑いで逮捕した。

    2人は東日本大震災後、福島県や関東地方などの1000人以上にこの健康食品をインターネット上で販売し、2400万円以上を売り上げていたという。

     発表によると、2人は3月25日、茨城県守谷市の女性(48)に対し、「これを飲めば放射性物質を吸着し、約6時間で排せつする。臨床データもある」な どと偽り、米国から輸入した飲料用の健康食品「プレミアムゼオライト」3本を計1万5000円で国に無許可で販売するなどした疑い。同庁によると、体内被 曝への効能は確認されていないという。

JUGEMテーマ:健康

2011年4月14日木曜日

非喫煙者に有望な肺がん血液検査

非喫煙者の肺癌がん)特定に有望な血液検査を開発

血液検査によって非喫煙者が肺癌がん)を有するエビデンス(科学的根拠)を提供することができ、医師の新しい診断ツールとなりうることが、予備的研究で示され、米オーランドで開催された米国学会(AACR)年次集会で報告された。

肺癌患者の約4人に1人は喫煙歴がない。米セレーラCelera社製品開発副責任者のCharlie Birse氏は、「胸部スキャンで問題性のある徴候(sign)を認めた患者に対してこの検査を用いることにより、肺癌のしるし(indication)を見つけ出すことができる。この検査によって、画像検査をさらに評価することができ、診断の確実性を提供できるようになる」と述べている。

同氏らは、600以上の検体を調べて、の存在を示す“バイオマーカー”を探索した。有望と思われるバイオマーカーを発見後、肺癌患者40例、非肺癌患者40例を含む喫煙歴のない80例の検体を用いて検査を実施した。両群の被験者の年齢および性別は一致していた。その結果、83%の確率で癌を示すことに成功したという。

今回の研究は学会発表であるため、ピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまで、データおよび結論は予備的なものとみなす必要がある。

2011年4月4日 HealthDay News

2011年4月13日水曜日

酵素に作用するがん新薬

武田、酵素阻害の抗がん剤を年内に治験開始 米VBからライセンス

武田薬品工業は体内の酵素に作用してがん細胞の増殖を抑える新タイプ抗がん剤の開発を年内に始める。米国子会社のミレニアム・ファーマシューティカルズ(マサチューセッツ州)が米ベンチャーから、臨床試験(治験)に入る前の段階の新薬候補について開発販売権を獲得した。武田は重点領域に位置付けるがん分野で、新薬候補の拡大を急ぐ。

ミレニアムが獲得(ライセンス導入)した新薬候補は「PAN―RAF(パンラフ)酵素」と呼ばれる種類の酵素の働きを、体内で阻害する効果が期待されている。

パンラフ酵素が何らかの原因で活性化すると、がん細胞に対して「増殖せよ」という情報を伝える。この指示を受けるとがん細胞は増殖を加速し、がん症状が悪化すると考えられている。

2011年4月12日 日経産業新聞

レーザーで腫瘍細胞の増殖抑制・縮小消滅

近畿大、フェムト秒レーザーで生成の放射線がマウスのがんを抑制

近畿大学の河島信樹リエゾンセンター特任教授、宮澤正顯医学部教授のグループは、フェムト秒(フェムトは1000兆分の1)レーザーで生成した放射線が、マウスに皮下移植した腫瘍細胞の増殖抑制・縮小消滅などに有効なことを確認した。生成放射線のどのエネルギー成分が効果を発揮しているかなど、がん抑制のメカニズム解明を進めるとともに、試作したフェムト秒レーザーがんピンポイント治療器のコンパクト化、操作性向上などを目指す。

2006―10年度の文部科学省社会連携研究推進事業の助成を受けて行った、医工連携による医療技術イノベーション研究の一環。レーザー加工のレザック(大阪府八尾市)が研究協力した。

試作した治療器の光源は中心波長780ナノメートル(ナノは10億分の1)、パルス幅800フェムト秒、パワーがパルス当たり1ミリジュールのチタンサ ファイアレーザー。このフェムト秒レーザーをヘリウムネオンレーザーで同軸調整。何回かミラー反射させて鉄成分主体の金属ターゲット表面に集光。反対側か ら出る放射線をがん細胞へ照射する。

ターゲット材はフェムト秒レーザーの1パルスで穴があくため巻き上げ式のテープ状にした。常時新しい面にレーザー集光することで60分以上連続の安定放 射線源が得られ、生成放射線成分のエネルギースペクトル解析では電子線とともに、6.4キロ電子ボルトにピークを持つX線の発生を確認した。

またマウス腫瘍とヒト由来上皮性腫瘍の培養細胞、腫瘍細胞を皮下移植したマウスへの照射実験で、各培養細胞は一定以上の線量照射で死滅。マウスの移植細胞も線量によらず増殖が抑えられ、一定以上の線量で縮小・瘢痕(はんこん)(傷跡やケロイド)化することが分かった。

試作治療器は直径15ミリメートルのパイプをつないだ多関節自在アーム型。これを腹腔(ふくこう)鏡タイプの10ミリメートル以下にするのは現時点で可 能という。ただ、よりフレキシブルな内視鏡型ファイバーへのフェムト秒レーザー導入は「現状では難しい」(河島特任教授)と見ている。

2011年4月13日 朝日新聞

能登野菜に がん抑制効果

がんに強い中島菜 抑制酵素、ワサビの5倍

収穫される露地物の中島菜。発がん抑制作用が新たに確認された

能登野菜の一つ中島菜は、酵素グルタチオン・S・トランスフェラーゼ(GST)を多量に含むことから強い発がん抑制作用が期待できることを、東洋大の下村講一郎教授が突き止めた。7日に七尾市神明町のJA能登わかば本店で開かれた勉強会で紹介した。同JAはGSTの機能性を考慮した新たな商品開発やPR活動を検討する。

下村教授の研究室が同大の農場で育てた生の中島菜サンプルを分析したところ、これまでGSTを含む野菜の代表格とされてきたワサビの5倍のGSTを検出。食品の中でも群を抜いて多いとみられることが分かった。

分析を担当した同大大学院生命科学研究科3年の加藤美佳さん(26)によると、ゆでるとGSTが減ることも分かった。加藤さんは「地元の一般的な調理法である漬物にすると、GSTが若干減少するだろう」と推測し、今後の研究課題としている。

下村教授は、同JAの協力を受け、中島菜の機能性の研究を進めている。これまでに、中島菜の辛味成分イソチオシアネートに強い抗がん・抗菌作用があることを確認した。

発がん抑制作用が新たに確認された中島菜について同JAは「健康への作用を生かせる商品開発を進めたい」(営農部)とし、PRにも役立ててさらなる販路拡大につなげたいとしている。

2011年4月8日 富山新聞