2011年5月24日火曜日

10年治療で乳がんを卒業の患者達

乳がんからの「卒業式」、治療10年の患者たち 橋本

ほかのがんと比べてゆっくり進行するため、治療や経過観察に長い時間を要する乳がん。一般的に、手術から10年は定期的な通院が必要とされる。和歌山県橋本市の病院で23日、治療から10年を迎えた女性たちが集まり、乳がんからの「卒業式」が開かれた。
橋本市岸上の紀和病院。県内で初めて、乳がんの専門センターを設けた病院だ。この病院で10年間、治療や通院を続けてきた女性5人に、乳がんからの「卒業証書」や「生命」としたためられた色紙が贈られた。
梅村定司(ていじ)センター長が「最初の告知のときから、ずっと一緒にがんと闘えたことを誇りに思います」と語りかけると、出席した女性たちは「今では ゲートゴルフもできます。先生ありがとう」「体調管理をしっかりしながら、いろいろなことに挑戦していきたい」と、健康な体を取り戻した喜びと、医師への 感謝の言葉を口にした。
卒業式をしたのは初めて。「せっかくつらい治療を乗り越えてこられたのに、何もないのでは味気ない。何か形にできるものはないか」とセンターの医師や看 護師らが話し合い、卒業式を思いついた。「通院時に患者さんが見せてくれた笑顔に励まされた」というスタッフもおり、笑顔への感謝の気持ちも込めたとい う。
「卒業生」の一人、岩出市の主婦藤井田鶴子さん(56)は12年前、検診で乳がんの疑いがあることが分かり、紀和病院での診察でがんが見つかった。「何 の自覚症状もなかった。不安でいっぱいだった」と話す。その後手術し、10年間病院に通い続けた。「先生はどんな質問にも答えてくれた。先生のおかげで治 療を乗り越えられた」と感謝した。
梅村センター長によれば、乳がんは早期に発見すれば、ほぼ100%治る。しかし、女優の田中好子さんが乳がんで亡くなり、不安に思う患者が増えたという。
「がんを乗り越えられたみなさんの力強い姿を知って、今、闘病中の患者さんやご家族に勇気を持って欲しい」と話した。
紀和病院では月~金に診療(予約制)を受け付けている。問い合わせは電話(0736・34・1255)で。

2011年5月24日 朝日新聞

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